無責任に捨てる人への厳罰は
「犬や猫にマイクロチップを入れる前に、捨てる人間に対して厳罰化してほしいです」
と語るのは、動物研究家のパンク町田さん。NPO法人「日本社会福祉愛犬協会」理事でもあるからこそ一家言を持つ。
「きちんと飼う人は、きちんと飼うんです。問題なのは、ペットの命を粗末に扱う人。保護犬、保護猫の数を減らすことを考えるなら、捨てられたペットは被害者ですから、被害者になる可能性を持つペットに負担を強いるのはおかしい」(町田さん)
また、町田さんが運営するNPO法人「生物行動進化研究センター」は、「日本ペット診療所」というクリニックも併設しているため、現場の視点も持つ。
「マイクロチップを入れる注射針は、普通の注射針より太いです。個体差にもよりますが、痛みを感じる子もいます。もっと無責任な人間に対する制裁を考えてほしいものです」
ペットの命を守るためにも
実際、令和2年から動物殺傷罪等に対する罰則は強化された。例えば、ペットを捨てる行為である動物遺棄罪は、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」(以前は100万円以下の罰金)に引き上げられた。
だが、環境省によると、2020年度(令和2年度)に迷子や飼育放棄など自治体に引き取られた犬猫は約7万2000匹。うち約2万3000匹が殺処分という数字が示すように、ペットの命を粗末に扱う人は減らない。そのため、今回のマイクロチップ装着で一層の強化を図ろうという狙いがある。
「ペットを粗末に扱う悪徳業者に対しても、きちんと取り締まってほしい!」
そう色をなして話すのは、本誌で『アラフィフヴィジュアル系』を連載中の漫画家のかなつ久美さん。動物愛護にも力を注ぐ、愛犬漫画家としても活動する。
「由々しき問題は、現在マイクロチップがインターネット上でも売られていること。それを業者や医師ではない素人が購入し、勝手に犬や猫たちに入れています。素人ですから、動物たちの痛みなど気にしていないでしょうし、衛生的にもよくない。そのうえで、『マイクロチップを入れています』と謳って販売している。それが本当に心配だしつらい」(かなつさん)