“こんなのもマウンティングって言われちゃうの?”と思う人もいるかもしれない。そこにマウンティングの難しさ、そして研究対象をドラマや書籍といったフィクションを中心とした理由がある。
「実際に何人かのグループに話を聞くということも考えましたが、“私はマウンティングだと思う”、“私はそうは思わない”と人によって違いが出ます。“あるある”という空気と“違う!”という空気が生まれ、そこで新たな“傷つき”が生まれてしまうかもしれないと考えました」
フィクションゆえに、マウンティング度合いはより強調された。
マウンティングは大きく3つに分類
研究を進めると、女性による女性へのマウンティング発言は、大きく3つのカテゴリーに分類された。
(A)伝統的な女性としての地位・能力を誇示する(前出の例:1、2、3、4、5、6)
(B)自立した人間としての地位・能力を誇示する(前出の例:7、8、9、10、11)
(C)女性としての性的魅力を誇示する(前出の例:12、13、14、15、16)
森さんは、「女性のマウンティングは男性よりも繰り返される」と話す。マウンティングにおける女性性とは何か。この3つのカテゴリーが関係する。
「この3つのカテゴリー間の関係は、ある部分では一方に勝てるけど、ある部分では負けるというように“三すくみ”の状態にあると考えます。
例えば、《伝統的な女性としての地位・能力を誇示する》女性は、結婚し子どももおり、安定した生活を送っているが、《自立した人間としての地位・能力を誇示する》女性から見れば、夫や子どもの存在に縛られ、自由な生活を送れていない、という形です。
そのため、“どちらが上か下か”を簡単に決定することが難しく、マウンティングが繰り返されてしまう。終わりがなく、勝ち負けが決まりにくいのかなと思います」