華やかな衣装をまとい、お客さんを元気にする仕事にアイドルと似た魅力を感じた。
ところが、ネット上の誹謗中傷に悩まされるようになる。
〈働くお店間違ってる〉〈デブすぎ!〉〈メイド服パツパツだったww〉
「すごく傷つきましたね……。見なければいいのに、見ちゃうんです。ローカルアイドルのときも、メイド喫茶のときも、周りは細い子が多くて…。当時、私は58キロくらい。でも、普通体型じゃダメなんです。
1週間飲み物だけで何も食べず、3キロやせたとか喜んでました。でも、限界がきて食べて、また元どおり!その繰り返しでした」
大学卒業後はIT企業に就職。東京でエンジニアとして働き始めた背景には複雑な想いがあった。
「地元では有名な進学校に通わせてもらったのに、レベルの高い大学には行けなくて、後ろめたさがありました。親も親戚もみんなお堅い職業で、いとこも高学歴……。長女なので、私も親のためにならなきゃ!って気持ちがずっとあった。それで、親と同じエンジニアの仕事を選びました」
仕事のストレスで過食、婚約を理由に退社
大学では英米文学を学んでいたため、理系の同僚がこなす仕事のスピードについていけない。遅れを取り戻すため、深夜まで残業する生活が5年続いた。心身ともにボロボロになり、ストレスによる過食で80キロ、90キロと体重も増えていく。
「毎日終電で帰って、家の近くでラーメン食べて帰ったり、コンビニでカップ麺2種と新作弁当を全種類買ったり。とにかくお腹いっぱいの状態にして、すぐ寝る。朝も早かったので、睡眠対策のために食べて寝る感じ。常に仕事辞めたいって考えちゃって……」
限界を迎えたとき、当時の恋人と婚約をして会社を辞めた。そして、東京から逃げるように相手の故郷である離島へ移住する。
「結婚すれば、会社を辞められると思った。逃げですよね。でも結局、3週間で婚約破棄して、東京でやり直そうと決めました」
仕事も結婚も上手くいかないのは自分のせい。“逃げる選択”で、欲しい人生は手に入らないとようやく悟った。
やり直すための「休養」をとろう。そう決めて、半年ほど無職の生活を続けていた。