パワハラ指揮官の行為は“もみ消して不問に”
「私が所属していた部隊の上長である指揮官が、ある男性に酷いパワハラをしていたんです。そのことを男性から相談をされた方が、ほかの上長にかけあってパワハラをやめさせるように依頼したそうなんですが、結局“指揮官がやっていることだから目をつぶるしかない”と、もみ消されちゃって。指揮官のパワハラは収まったんですけど、今度はパワハラをやめさせるようかけあった人に対する陰湿なイジメが始まって。会議の時間を知らせないとか、仲間外れにするとか。結局、その人は他部署に異動させられました」
この件は、当時メディアでも取り上げられたという。
「その部隊は、記事で“調査中”と回答していましたが、指揮官に対して調査なんかいっさいせず、もみ消したうえに不問にしていましたよ」(Cさん、以下同)
こうした組織的な隠ぺいが染みついているのが自衛隊なのだという。
「組織内での不祥事の調査を担当している人たちが、自分の出世や利益でしか考えてない人たちばかりなんです。自分の身を守りたいから、余計なことはしない。自分の出世を考えたときに“問題にしないほうがいいだろう”という結論に至ってしまっている。問題提起すると“なんで取り上げたんだ”と怒られる」
もちろん良心的な考えを持つ自衛官もいるのだが、それが組織の中では力になっていない。
「被害者を助けようと通報した人は“通報した隊員”というレッテルを貼られ、いまだに不利益な扱いを受けています。その人は相談を受けたメールのやり取りや、上官がパワハラやセクハラを“問題ない”と発言した音声があるそうですが、それでも内部は動きません。
不祥事がわかっていても不問にして、隠ぺいするという体質が昔からの流れです」
五ノ井さんの勇気ある告発が、泣き寝入りしていた被害者の心を動かし、週刊女性に話を打ち明けてくれた。モラルが失われれば、組織は崩壊する。今回の騒動で、自衛隊の最後の良心が問われている。