薬を上手に減らす3つのステップ
自分や高齢の親がのむ薬が多すぎると思っても、自己判断で薬を減らしては絶対にいけないと平井先生は強調する。
「どんな薬も治す目的で処方されたもの。勝手に減らせば症状を重くするなどの問題が起きるかもしれません。大事なことは、医師に優先順位をつけてもらうことです」
そこで、薬を上手に減らすための3つのステップを紹介する。
ステップ1
特に要注意の「6種類の薬」をのんでいないか確認する
1.「不眠症」の薬
2. うつ病の薬
3. 高血圧の薬
4. 血液サラサラの薬
5. 糖尿病の薬
6. 過活動膀胱の薬
上記で紹介した6種類の薬の中に、普段のんでいるものがないかをまずは確認したい。あれば、それが減らす薬の第1候補になる。また、自分ではなく、高齢の親がのんでいる薬を確認する際にはちょっとしたコツがあるという。
「『年をとると副作用が出るから薬を減らすべきだ』などと頭ごなしに言うのはよくありません。薬をたくさんのむことで安心しているシニアも少なくありませんので、『お薬も卒業できるらしいよ』などと声をかけて、一緒に整理しつつ種類を確認するのがおすすめです」
ステップ2
お薬手帳には、病院で出された薬はもちろん、普段のんでいる市販薬やビタミン剤などのサプリメントもすべて記録したい。例えばサプリの成分が、処方された薬の効きを弱めたり、逆に強めていたりする可能性もあるからだ。
さらに、身体に異変を感じた日や予防接種を受けた日などもメモしておけば、問診などの際に伝え漏れも防げる。お薬手帳を、医師や薬剤師との連絡帳として上手に活用したい。
ステップ3
かかりつけ医に薬を減らせないか相談する
薬やサプリを記入したお薬手帳をかかりつけ医に見せて「薬を減らしたいのですが、減らせますでしょうか?」と相談しよう。
もしも医師に相談するのはハードルが高いと感じたら、まずは処方箋を持っていく薬局の薬剤師さんを頼るのもテ。しっかり相談に乗ってくれる。
「薬は種類の多さがいちばんの問題ではなく、その人にとって適切な薬が適切な期間のめているかが最も大事です。もし、薬への不安や疑問があれば、そのときは薬剤師に遠慮なく聞いてください。医師だけでなく、薬局や薬剤師を上手に活用していただきたいですね」
今回教えてくれた先生は
神戸大学名誉教授、京都大学医学研究科特任教授。薬剤師と医師の免許を持ち、長年、薬の適切な使い方や予防医学の大切さを訴えてきた。
<取材・文/冨田ひろみ>