「夫と結婚すること」がゴールになっていた
「女性は営業部の後輩で、プロジェクト終了後に打ち上げをしただけ」と、しらを切り通してきた。困った裕美さんは夫の言い訳を、そのままママ友らに告げたが、誰も耳を貸さず、あっという間にママ友グループに話は広まってしまったのだ。
「噂に尾ひれがついて、夫婦仲が冷めているとか、浮気を繰り返しているのは妻に不満があるからとか。味方はたった1人のママ友。LINEでいつも励ましてくれたんです。でもそのママ友が引っ越してしまうことになって。ますます孤立無援になってしまいました」
ママ友からはじかれて孤独になったことを夫に訴えても「ママ友なんか一時的な関係。気にすることなんかないよ」と他人事のように夫は言い放った。
「一体、私はなぜ彼と結婚したのだろうと初めて自分の結婚を考えました。そのとき、自分の中で夫と結婚することがゴールになっていたのでは、とふと気づいたんです」
最近では妻の座を手に入れた喜びも感じられなくなった裕美さん。子どもがもう少し大きくなってから仕事に復帰しようと思っている。夫と別れ、子どもと一緒に生きていくには、何はともあれ経済力が必要だからだ。
取材・文/夏目かをる