リスクを認識したうえで、どうしても試したい場合はどうすべきだろうか。
「問診票をオンラインで提出するだけで処方するようなクリニックは避けるべき。見抜けるはずのリスクを見逃したり、やせる必要がないのに減量に固執する精神疾患など、別の病気が隠れていたりする場合もあるためです。せめて医師がきちんと話を聞いて、ほかの病気が隠れていないかしっかり確認してくれるようなクリニックに行ってほしいと思います」
やせ薬が効くワケ
GLP-1は膵臓に作用して血糖値を下げるインスリンの分泌をよくし、脂肪の代謝を促してくれる。さらに、胃に作用して胃の動きを鈍らせ、脳にも作用して食欲を抑える働きも。
3か月で9kg減!好物のラーメン食べたくなくなる/50代男性・Oさん
GLP-1ののみ薬「リベルサス」を最初は3mg、2か月目から7mgのんだところ、3か月後には9kg減に成功したOさん。ラーメンが大好きでそれまでは大盛りを頼んでいたが、リベルサスをのみ始めるとラーメンへの欲求はほぼなくなり、好物の揚げ物も少量で不快感を覚えるようになったという。
「体重も減って効果に驚いています。吐くほどではないですが軽い胃の不快感があり、食べるとすぐに満腹になるので、食べる量が減りました。その分、本当にパワーが必要な場面で疲れやすくなることも。趣味のテニスをやる前にはおにぎりを食べています」
電話で医者とひと言話して簡単に入手/40代女性・Yさん
美容クリニックでこの薬を知り、処方を希望したYさん。最初に行ったクリニックで服用中の潰瘍性大腸炎の薬を問診票に正直に記入したところ、重度の胃腸障害があると出せないとの判断で処方されず。その後、オンライン処方を行う医療機関で問診票に服用中の薬を申告せずに提出したらスムーズに処方されたとのこと。ちなみに3mg1か月分で1万円ほど。
「医療機関によってまったく対応が違い、驚きました。人からは太っていないと言われるのですが、自分的にはこれ以上体重が増えるのはNGなので、体調に注意しながらのみ続けようと思います」
こんなダイエットは要注意!
●薬の個人輸入はNG
個人輸入は安価で手軽に薬を入手できるが、ニセモノの可能性や品質、有効性、安全性の保証がなく、リスクが大きい。副作用や不具合などトラブルが起こった場合も対応が不明で危険なので絶対に避ける。
●あくどいクリニックは避けるべし
きちんと話を聞かずに処方するクリニックや必要以上に高額な価格で販売するクリニックはNG。自由診療で薬をたくさん処方する、儲け優先のクリニックだと考えよう。
●ダイエットサプリに注意
インターネットで「GLP-1」と検索するとサプリが出てくるが、これはGLP-1の分泌を促すEPAのサプリメント。GLP-1製剤とはまったく別物のため、要注意だ。そのほか、やせるサプリメントもほとんど効果はないので、手を出さないほうが無難。
教えてくれた人……寺田武史医師 ●アクアメディカルクリニック院長。精力的に情報を発信し、著書『なぜ、人は病気になるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)がアマゾンで発売中。
〈取材・文/井上真規子〉