寄付をする手段が多様化

 これまでアーティストやスポーツ選手などの著名人は、社会的なメッセージの発信をためらったり、「売名行為」と言われるのを恐れて寄付することを躊躇するような状況が続いていた。

「パブリックリソース財団でサポートした例では、4人組バンドのsumikaが『Dress Farm 2022基金』を設置したことがありました。無料視聴可能な新曲4曲と未発表ライブ映像4曲に対して、視聴したユーザーが自ら設定した金額を寄付としていただき、医療機関や音楽ライブ事業にかかわる専門スタッフに支援するというものです。彼らが寄付することで“かっこいいものなんだ”というロールモデルができ、ファンに向かって呼びかけたことで、これまで寄付をしたことがなかった人たちが行動し、寄付者層の拡大が起きたことが素晴らしいと思います」(岸本さん)

 社会をとりまくさまざまな問題や、寄付をする手段が多様化したことも理由のようだ。

「ミレニアル世代やZ世代の若い人たちは、社会への関心や貢献意識が強く、社会課題を解決できるような働き方やお金の使い方に関心を寄せています。そんな社会的背景に加えて、広瀬すずさんなど若い著名人が寄付活動を行うことで、ロールモデルが増えてきました。また、地球環境問題や格差の拡大など将来への危機感から行動に移す方もいます。デジタルネイティブなので、クラウドファンディングやポイント寄付など、寄付のハードルが下がったのも大きな要因でしょう」(岸本さん)

 クラファンのサイト内で発表されたメッセージでは、

《みなさんも困っている人を助ける一歩にしていただければと思います》

 と思いを綴った広瀬。日本を代表する若手女優は、その志も一流のようだ。