もうひとつ、「マヨネーズを使った惣菜」も差が出やすいので、見識のあるスーパーほど店内調理している傾向にあります。
【2】「マヨネーズを使った惣菜」に注目する
たとえばマヨネーズで和えた「マカロニサラダ」「ポテトサラダ」「ごぼうサラダ」、あるいは「コールスロー」などは、これも前回記事で述べた「マヨネーズの分離問題」があるので、「真空パック」ではなかなか難しいのです。
それに手づくりすると、「増粘多糖類」や「保存効果のある添加物」など、余計な添加物も使う必要がなくなります。
そもそも「コールスロー」なんて、わざわざ業務用を買わなくても、家にある余り野菜を使って、簡単につくれます。
『安部ごはん』で紹介した「余り野菜なんでもコールスロー風」も、「魔法の調味料」さえ用意しておけば、時短で簡単に自宅ででき、「フードロス」の解消にもつながる、おすすめの一品です。
安部氏が開発した「魔法の調味料」さえ用意すれば、手軽で簡単につくれる「余り野菜なんでもコールスロー風」(撮影:佳川奈央)
「簡単なレシピ」を知り、惣菜は時々取り入れる程度に
私が思うに、一部の大型スーパーの惣菜コーナーは、「アイテム数が多すぎ」です。
品数が多すぎるから、手づくりすることができず、大半を「業務用を仕入れて、店で小分けしてトレーに詰めるだけで売る」ということになるのです。
もちろん、「だから市販の惣菜がいけない」というわけではありません。忙しいときや体調が悪いとき、疲れているとき、市販の惣菜はとても便利な存在です。
ただし、「便利さの裏側」には、今回解説したような「さまざまな問題点」が潜んでいるということを「知った」うえで、選んでほしいのです。
結局、どうあがいても「市販の惣菜」は「家庭で手づくりした出来立ての惣菜」には勝てないと私は思います。
ただし、これも声を大にしてみなさんにお伝えしたいのは、別に凝った調理をしなくても「手軽で」「簡単に」「時短で」できる料理法はたくさんあります。
『安部ごはん』も「毎日手づくりする時間はあまりないけど、できるだけ時短でおいしくて、そのうえ添加物をとらなくていいレシピを教えてほしい」という全国の読者の声から生まれたものです。
ぜひ「手抜きでもおいしい簡単なレシピ・調理法」を知り、あくまでそれをメインに手づくりを大切にしながらも、「市販の惣菜」は日常的にではなく、時々取り入れるぐらいがいいのではないか、と「食の裏側」を知る私は強く思います。
安部 司(あべ つかさ)Tsukasa Abe
『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事
1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。
2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。