いくつになっても女性の悩みは尽きない
一昨年から始めた音声配信アプリstand.fmの番組『高尾美穂からのリアルボイス』には、多くのリスナーからの悩みが寄せられており、60代女性からの悩み相談も少なくない。
「例えば、夫との性交渉がつらいという悩みです。医学的見地からいえば、足りない女性ホルモンを補うことで多少は改善できる部分があるので、婦人科に相談してみることをおすすめします。また、自分の身体の変化も含め、夫婦の営みについてふたりで話し合うなどコミュニケーションをとることも大切です」
夫に対する不満も60代女性から寄せられる悩みのひとつ。
「仕事柄、多くのカップルを見ていますが、いくつになってもいい関係を築けているのは10組に1組くらいだと思います。“お父さん”“お母さん”という役割があるからこそ、夫婦を続けていられるというご家庭は意外と多いもの。だから、“子どもが独立した後、この人とどうやって過ごしていこう……”という悩みが生まれるんです」
近年は熟年離婚や卒婚も珍しくはない。
「熟年離婚も卒婚も、私はアリだと思っています。子どもを育てるためのパートナーとその後の人生を一緒に歩くパートナーが違ってもいいと思うし、後者とは性愛の部分がなくてもいいんじゃないかな。これからの自分の人生をいかに豊かに生きるか。それが60歳からの人生のテーマではないかと思います」
多くの現代女性にとって、閉経後の人生は約40年。閉経を迎えると「人生もう終わり」と感じる人もいるかもしれないが、閉経後の人生を、誰と、どう生きるのかは、自分次第なのだ。
自由を謳歌するために健康をおろそかにしない
60歳からの人生を彩りあるものにするために、高尾先生は“自由があること”が大切だと語る。
「それは“経済的な自由”“時間的な自由”“体力的な自由”の3つ。例えば、経済面でパートナーに依存しきっていると、時間と体力があっても“ジャニーズのライブに行きたいのに、ダンナがお金を出してくれない!”となってしまうことも。今は家の中にいてできる副業などで稼げる時代ですし、経済的な自由を持つことで生活の質は確実に上がると思います」
60代からの“自由”を余すところなく謳歌するための大前提は、健康であること。
「健康の基本は生活習慣にあり、バランスのいい食生活による適正体重の維持と、運動習慣、自分に合った睡眠時間を確保することが大切です。また、今は健康診断によって病気に早く気づける時代。自分の身体の異変に早く気づけば、それだけ対処の選択肢が広がります」
健康を意識した生活習慣を重ねている人とそうでない人とでは、10年後、20年後に大きく差が開く。
「同じ70歳の方でも、フルマラソンを走る人もいれば、体力や気力がなく老け込んでいる人もいますよね。毎日、身体にいいことを積み重ねていった人と、“困ったら病院に行けばいいや”と適当な生活を送っている人とを10年後、20年後に比べてみれば、見た目も中身も確実に違っているはずです」