前向きな気持ちで“手放す”ことも大事
ポジティブ思考の印象がある高尾先生だが、実際には前向きに捉えられないときもあり、日常生活の3~4割は“まぁ、いっか”という気持ちが占めているそう。
「私たちの世代は、“努力すればご褒美をもらえる”という思考になりがちです。でも現実は、自分が頑張ったことのすべてにいい結果が出るわけではないですよね。新型コロナウイルスの感染もそうだし、台風のニュースが流れているのに“予約している飛行機が飛びますように”と祈っても、きっと願いは叶いません。私は、頑張っても何も響かない部分は“まぁ、いっか”と手放して、前向きに諦めるのが、いちばんいいと思うんです」
ポジティブ思考になれないような状況で、気持ちを奮い立たせて頑張ることは、自分の心に無理をさせてしまい、燃え尽きの原因にもなってしまう。
高尾先生は“最後に幸せなのは、人の幸せが自分の幸せと思える人”だとも話す。
「以前の私は、生きる意味とは自分が幸せでいることだと思っていたんです。でも、テレビ番組で生前の瀬戸内寂聴さんが『私は自分のまわりにいる人を幸せにするために生きています』とおっしゃっているのを聞いて、『うわぁ、そっちか』って衝撃を受けまして(笑)。自分が幸せでいるとまわりの人も幸せでいてくれる。そんなふうに考えることが豊かな人生につながっていくような気がします」
高尾先生流 幸せな毎日を過ごす“元気の源”
元気の源1. 毎日、“ご機嫌に過ごすぞ!”と思って過ごす
「『今日はご機嫌に過ごすぞ!』って決めておくことは、心の余裕につながります。心に余裕があれば、たとえ車で横入りをされてもクラクションをブーブー鳴らしたりせず、“まぁしょうがない”って思えますから」
元気の源2. “変化するもの”を楽しむ
「人にとっての楽しみのひとつに、変化していくものを眺めることがあります。子どもが独立したら、ペットでもいいですし、私のおすすめは植物を育てること。特に野菜のように実のなるものは食べる楽しみがあっていいですね」
元気の源3. 夢中になれる趣味を持つ
「私の場合、年間のスケジュールで最初に決めるのが学会で、次がライブ鑑賞や観劇の予定です。日常を離れたライブのような趣味と、ベランダでお花を育てるような日常の趣味の2種類の趣味を持っているのが理想的です」
日本スポーツ協会公認ドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。NHK『あさイチ』などのテレビ出演やWEBマガジン『mi-mollet』への連載など多方面で活躍中。
近著に『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が。女性の身体の変化とホルモンの関係、そこから派生するさまざま悩みとうまく付き合うための解決策を提案。
<取材・文/熊谷あづさ>