福原の『紅白』出場が噂される背景には、朝ドラとの切っても切れない関係がある。フリーライターの木俣冬さんに話を聞いた。
「朝ドラと『紅白』のコラボは近年始まったものではなく、例えば'96年から放送された『ふたりっ子』で演歌歌手を演じた河合美智子さんが、劇中歌『夫婦みち』で翌年の紅白歌合戦に出場しています。'86年に『はね駒』主演の斉藤由貴さんが、'92年に『ひらり』主演の石田ひかりさんが司会をしていますね」
朝ドラが紅白の救世主に!?
音楽を扱ったストーリーの朝ドラだと、『紅白』との相性がいいようだ。アイドルを目指すヒロインを描いた'13年の『あまちゃん』とのコラボは強い印象を残した。
「単純に『あまちゃん』のキャストが出演したのではなく、ドラマの延長のような世界観でコーナーを演出していました。小泉今日子さんや薬師丸ひろ子さんが歌唱したこともあって大盛り上がり。世間からの評判もよかったんです。それ以降、朝ドラと『紅白』でコラボをすることが増えたという印象がありますね」(木俣さん、以下同)
'18年の『紅白』では春スタートの『なつぞら』でヒロインを演じた広瀬すずが紅組司会を務め、放送中だった『まんぷく』の安藤サクラも登場。'20年には『エール』のモデルとなった古関裕而の楽曲を出演者が歌唱した。
「音楽の趣味嗜好が多様化したことで、最近では『紅白』に出場するアーティストのジャンルもバラバラになりました。その結果、好きなアーティストだけを見るという視聴者が増え、世帯視聴率は低下していますね」
昨年は関東地区の平均世帯視聴率が前年比6・0ポイント減の34・3%で、2部制となった'89年以降で過去最低となった。『舞いあがれ!』には、朝ドラと『紅白』両方の人気復調がひそかに期待されている。
「朝ドラはSNSなどでも放送ごとの反響が大きく、お年寄りだけでなく若い世代にもウケる強力なコンテンツです。そのキャストを『紅白』に出演させることは理にかなっていると思いますよ」
“NHKの寵児”こと福原は、『紅白』の視聴率を舞いあがらせることができるか。
木俣 冬 ライター、インタビュアー、ノベライズ作家。主な著書に『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』、ノベライズに『ちょっと思い出しただけ』『NHK連続テレビ小説なつぞら』