これが殺処分ゼロにつながるという。ロジックは?
「世界的にもさまざまな研究がありますが、ペットを飼うと健康寿命が飛躍的に伸びると言われています。認知症や心筋梗塞にもなりにくい、病院に行く回数が年間20%減るとも。
ですが、高齢者でペットを飼っていない方は3000万人と言われています。体調的に犬猫は飼えないという人もいますが、2000万人くらいは犬や猫が好きでまだまだ元気なんじゃないかと思います。ぜひその半分の1000万人くらいの方に飼っていただきたい」
殺処分にはどう繋がるのか。
「現在、殺処分されてしまうのは犬猫合計で2万5000頭くらいです。それに対して1000万人が飼いたいとなったら、すぐに殺処分ゼロが実現します。ペットショップで買うのはできればやめていただいて、保護施設から引き取る形に。一大シニアペットブームを起こせば解決できると思っているんです」
問題解決は高齢者や殺処分に関してだけではない。
「1000万人が本当にペットを飼ってくれて、保険に入っていただく。保険は1頭あたり200万円ほどの保険です。200万円の保険と言っても200万円払う必要はなくて、200万円の死亡保険金の保険の掛け金は大した額ではありません。
200万円×1000万人なので、20兆円の市場ができます。先程の解決方法があるので、こんな金額は殺処分ゼロに必要ありません。なので我々ではなく、もっと若い世代がそのお金を使って、社会問題であったり、殺処分ゼロよりももっと壮大なテーマに取り組む軍資金にしてほしい。そんな仕組みにしたいと思っているんです」
殺処分は“社会問題”として語られる。しかし、上場企業を作り上げた男は社会のせいにはしない。
「我々の業界はとかく外部を攻撃しがちです。殺処分を許す政治が悪い、早く法律を作れ、悪徳ブリーダーがいるからなんとかしろ、ペットショップなんか無くせなどなど。しかしそういった“外部”の問題に目を向けるとなかなか自力で解決できません。なので我々独自でやってしまいたいなと思っています」
事件以降『ペットの里』では、動物病院、公園、貸し農場、カフェ、キャンプ場を創設。訪れる人がより多くなる魅力的な施設の実現を進めている。
自分の半生を映画にしたい
さらに施設を充実させようと花蜜氏は先日、ビジネスプランをプレゼンし、出資を募るYouTube番組に出演。条件付きながら番組最高額となる3000万円の融資を獲得した。条件は『ペットの里』の運営資金のメインといえる活動を支える「月額会員」の2000人追加加入。締め切りは10月20日。まだ目標には達していないが当然諦めてはいない。
波乱を超えてたどり着いた壮大なテーマ。
「今、自分の半生を書いた書籍を映画化したいと思っているんです。『出前館』にも協力してもらおうと連絡しているんですが、みんな既読無視なんですよね(苦笑)。『出前館』にとっても悪い話じゃないと思うんだけどなぁ」