効率よく温めることで頻尿、更年期障害改善

 冷えを解消し生理の悩みも軽減される“おまたカイロ”は、そもそもどんな仕組みで身体を温めるのだろうか。

「カイロを股間に当てるとすぐ上に粘膜があり、粘膜を温めることで膀胱や子宮、腸など骨盤内にある臓器に効率よく熱を伝えることができます。膣も子宮も血流が多い場所なので、温めることで血行が良くなれば効果てきめんといえます」

 膣は10cmほどの長さがありその先に子宮があるが、膣が温まると子宮の下の部分がまず温まる。子宮は動脈が張り巡らされたような臓器のため、一部が温まれば徐々に子宮全体が温まり、そばにある腸も温かくなる。また会陰には子宮や卵巣につながるツボがあり、温めるとお灸のような感じでツボを刺激。さらに子宮の温めにつながるのだ。

 また、“おまたカイロ”のメリットは生理トラブルの解消だけにとどまらず、実は頻尿や更年期障害の改善にも役立つ。冷えるとおしっこが近くなるのは、膀胱組織が冷えてかたくなり、膀胱に尿をためられないのが原因だが、

「カイロの熱が膀胱に伝わって本来の機能が高まり、残尿感や排尿回数の軽減が期待できます。温まると逆にトイレが近くなる人もいますが、それは一時的なものなので心配はいりません」

 一方、更年期障害は下半身を温めることで血液の流れを整えるのが肝要だ。閉経するとそれまで子宮に流れていた血液の行き場がなくなって上半身にとどまりやすくなり、全身のバランスが崩れていろいろな不調が出てくる。

 東洋医学では「気・血・水」が身体を構成する3大要素と考えられ、上半身に血液が集中すると“気”の流れが悪くなってイライラや意欲低下をまねき、“”の流れが滞って汗が噴き出すのぼせやホットフラッシュの症状が現れる。

「下半身を温めて血行が良くなれば、血液や栄養素などを運ぶ“血”が上半身を含め全身をスムーズに巡るようになり、症状の改善につながっていきます」

 実際に更年期症状が改善した患者さんの例もある。子宮内膜症の治療中にがんが発見された40代後半の女性は、子宮と卵巣を切除する手術を受けたあと、急にホットフラッシュやのぼせが始まった。しかし抗がん剤の化学療法をしているためホルモン治療ができず、“おまたカイロ”と骨盤ストレッチを続けることで改善されたという。

「カイロの温めと骨盤周辺の筋肉をほぐしたことで血流が良くなり、酸素やホルモンがきちんと運ばれるようになったと考えられます」