私設軍隊「カディロフツィ」はロシア軍の汚れ仕事担当
「核使用のほのめかし」「息子の戦地派遣」「ロ軍司令部批判」などカディロフ首長の言動はすべて、感情的な威嚇に聞こえるが、実はプーチン大統領へのアピールだと言われている。
国内外の世論を気にして、おおっぴらには言えないことを全て先回りして、カディロフ首長が代弁してくれるのだ。
ロシア国内で兵士の招集が困難を極めている状態で、年端のいかない息子達を前線に送り込むカディロフは、プーチン大統領はさぞかし「頼れるやつ」に見えるのかもしれない。
カディロフは2月のウクライナ侵攻当初から、ロシア発のSNS「テレグラム」においてカディロフツィの戦闘の様子を動画で配信してきた。テレグラムはロシア国内外で閲覧できる世界的なツール。
そこで情報発信することで、反ロシアの西側諸国、ロシア国内の反戦派・反プーチン派にも戦果をアピールすることができるのだ。
カディロフツィたちの戦闘シーンはTikTokなどにもアップされているが、リアリティに乏しく「本当に戦っているのか?」と疑問を呈され「TikTok部隊」と揶揄されている。
チェチェン共和国は国家予算の8割がをロシアから得ており、カディロフの独裁はプーチンの後押しで成り立っているので従わざるをえない。ウクライナのアレストビッチ大統領府顧問は4日、キーウ州で判明した民間人殺害などの犯罪行為について、カディロフ部隊を含む十余りのロシア部隊が関与したとの分析を公表した。
事実であれば戦争犯罪だが、正規軍とは独立した武装組織が行ったことにすれば、プーチンも言い訳できる。2014年のウクライナの東部紛争や、シリア内戦でも同様な役割を担っていたという。
プーチン大統領にとっては汚れ仕事を一気に担ってくれる闇の仕事人のような存在で「カディロフ」と「カディロフツィ」を体制維持や恐怖支配に利用し、お互い持ちつ持たれるといえるだろう。