担当者同士で意見がぶつかることも少なくなく、熱い議論が展開されるという。やっと撮影箇所が決まると、次に行うのはロケハン。

撮影でいちばんの苦労は「寒さ」

「スムーズに行けば2回、多いと5回くらい訪れます」

 どのポスターにも人はまったく写り込んでいないが、やっぱり撮影は寺社を数日貸し切って?

「いえいえ。貸し切ることはありません。拝観時間前や後に入れていただいて撮影しています」

「撮影はだいたい1日。拝観時間中にも撮りますが、それは引きの画ではなく、庭や仏像などの寄りの画ですね」(高崎さん、以下同)

「東寺」'17年秋。“ニンゲンは、ちょっとしゃべりすぎかな。もの言わぬ景色の、なんと雄弁なことだろう。”
「東寺」'17年秋。“ニンゲンは、ちょっとしゃべりすぎかな。もの言わぬ景色の、なんと雄弁なことだろう。”
【写真】ぜったい京都に行きたくなる!高橋さんが30年撮り続けた「京都の秋」

 撮影でのいちばんの苦労点を聞くと、

「紅葉の撮影はすごく寒いんですよ、極寒。秋はまだ身体が寒さに慣れていないうえに、早朝4時集合などですから(笑)」

 30年も撮り続ける中、ぶっちゃけネタ切れの心配は?

「ないですね。同じ寺社でも時間帯、アングルなどまた違った形で写真は撮れる。必ず新しい何かが見つかると思いますし、これからもそんな情景をお届けできればと思っています」

 改めて、高崎さんに京都の魅力を尋ねると、

「子どものころに修学旅行京都に行かれている方も多いと思いますが、“どこ行ったっけ?”って感じでしょ? 大人になってじっくり見ると、全然違うはずです。特に、人がいない緊張した朝。身が引き締まります。そんな空気感はきっと心に残るでしょう」