そんな長寿番組の終了については、視聴率の低下や番組の最近の不祥事も原因として挙げられている。しかし、多くの人は3年前の吉本闇営業騒動における加藤の言動を思い出したのではないか。

『スッキリ』で会社の体質を批判して「経営陣が変わらないなら僕はやめる」とまで宣言。この対立関係はエージェント契約に切り替えることで決着したものの、昨春、吉本側がこれを打ち切った。つまり、騒動のほとぼりが冷めるころ、吉本が加藤を見限ったように、日テレも吉本芸人ではなくなった彼に期待するのをやめたという見方もできる。

 だとしたら、加藤も悔しいだろう。それこそ、番組終了発表の4日前には、King& Princeの騒動を取り上げ、事務所を退所することで仕事が制限されるという予想に対し「いつまでそんなことやってるの」と反論。

「優秀な人間を使っていくっていうのがエンターテインメントであって、それは平等にあるべき」

 と、主張した。実際、彼は独立後も4本のテレビレギュラー(1本は地方ローカル)を確保している。ただ、来春にはその最大の1本が失われることに。ターニングポイントを巧みに回り切り、むしろ加速すらしてきた加藤だが、闇営業騒動のカーブでは曲がり損ねたのかもしれない。

 ユーチューブならともかく、テレビ業界はまだまだ事務所の力関係がものをいう世界。また、狂犬と呼ばれた男ももう若くはない。風を読み違え、自らの衰えに気づかなかったことが、この状況をもたらしたのではないか。

 はたして、ここからの逆襲はあるのか。お手並み拝見といこう。

宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。