ひとり世帯になり経済的な問題も
夫の死で世帯の収入が激減するケースもあり、経済的な問題も無視できない。サロンでもイベントの会費はできる限り抑えているとか。
「経済的な不安から再婚したいという女性から、ここでは男性を紹介してもらえるのかと問い合わせを受けたことも。私たちはそれぞれの自立を目的にした会であることをお話ししましたが、本当に困っているからズバリ聞かれたんだと思います」(京子)
夫婦であれば、離婚しない限り、いつか「没イチ」になる日が訪れる。そのときのために今からできることとは。
「お互いが自立することですね。財産管理でも家事でも、どちらかに頼り切っていると残されたほうは苦労します。特に家事をしない男性は、まず慣れない家事で参ってしまいます。生活能力は今のうちに身につけるべき」(和江)
また、仕事ひと筋で無趣味な人は、ムリにでも趣味を見つけておいたほうがよいと、おふたりは強調する。
「ある男性会員は、亡くなった奥様が生前に、趣味を持ったほうがよいとバードウォッチングに誘ってくれていたとか。その男性は今やすっかり熱心なバードウォッチャーになり、“妻が残してくれたものを形にしたい”と作品を一冊の写真集にまとめていらした。奥様は本当によいものを残されましたね」(京子)
お話を伺ったのは…NPO法人「気ままサロン」
伊藤京子さん(73歳)
2009年、59歳のときに夫を前立腺がんで失う。NPO法人「気ままサロン」に入会し、2021年から代表に。全国に会員がおり、総数は約100人。
佐藤和江さん(77歳)
2008年、64歳のときに、喉頭がんだった夫と死別。現在、「気ままサロン」」の幹事として、会計や会報の発行に従事。
<取材・文/志賀桂子>