《先日、お金を払わないで商品を持って行く盗難被害に遭いました。うちの商品は、どれもスタッフが手作りで、ひとつひとつ丁寧に作ってます。悲しくなるようなことはしないでくださいね》

《数回にわたり2人組の男による万引きが発生しました。警察署には被害届け済みです。(防犯カメラの映像では)大量にリュックに入れて逃走しています。万引きは犯罪です

ローテク過ぎる防犯設備

 都内でギョーザの無人販売所を経営するAさんは言う。

「防犯カメラを設置して店内を遠隔監視しています。お客さんが入ってきたときだけ録画できる仕組みです。万引き被害は月に1~2件ぐらい。防犯カメラがあるとはいえ、常時チェックできるわけではないですし、事務所から店までは離れているので、万引きを現行犯で取り押さえることは難しい。代金を入れたように見せかけて、実は入れていない“エア入金”を企てる輩もいます。被害届ですか? 提出はしましたが、まだ犯人は捕まっていません」

 さらに鹿児島では、市内の花や苗を売る無人販売所で赤ちゃんが置き去りにされる事件が起きている。事件から2か月が経過した今なお、両親は名乗り出ていない。

「基本的に“誰も盗んだり悪いことをしたりはしないはず”という性善説が前提で成り立っているビジネス。ここまで事件が続くと、その限界を感じてしまいますね」

 そう話すのはITジャーナリストの三上洋さんだ。事件頻発にもかかわらず、無人販売所が増え続けている理由を三上さんは、「極限までコストを下げることで利潤を出しているから」と、分析する。

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 例えば、前出の『雪松』の場合、店に入ると冷凍ケースが整然と並んでいる。ケースにある商品は36個入りの1000円のギョーザ、1種類だけ。支払いは現金のみ。それも賽銭箱によく似た箱に客が直接、お金を入れる仕組みだ。当然ながら自動精算の機能はついていないため、お釣りは出ない。

「防犯対策としては唯一、クラウドカメラと呼ばれる防犯カメラが設置されているだけ。これはインターネット上につながっていて遠隔監視でき、買いに来た人の動作をすべて記録できます。このカメラのほかには防犯設備に当たるものが一切ない。驚くほどローテクです」(三上さん、以下同)

 ローテクな店づくりは『雪松』だけに限らない。クレジットカード払いやキャッシュレス決済が可能な無人販売所もあるとはいえ、防犯対策に関していうと、どの店も大きな違いはない。