伝説その1・新人刑事でただ一人太った
「人間は走っている姿が一番美しい」メイン監督の竹林進氏の信念から、「太陽」の新人刑事は徹底的に走らされたという。
演技経験がないまま大役に抜擢されたプレッシャーもあり、誰もがみるみる痩せていくというなかで、渡辺さんだけは痩せるどころか逆に太った。というのも、撮影にはファンから大量のお弁当の差し入れがあり、残らず一人で食べていたからだった。
のちに井川刑事役で出演した地井武男さんは、バラエティで渡辺さんと再共演したときに「地井さんにはもう一生女の子からキャーキャー言われることはないでしょうね」とイヤミを言われて、悔しさに歯がゆい思いをしたというエピソードを語った。
伝説その2・明石家さんまが明かす馴れ初め
1985年放送のドラマ『気になるあいつ』(日本テレビ系)で共演した明石家さんまが3日、『ヤングタウン土曜日』(MBS)で死去した渡辺さんについて、追悼と共に榊原郁恵さんとの馴れ初めを明かした。
一度、渡辺さんが撮影先で食べ過ぎたためにロケが中止になり、救急車に搬送されたことがあった。そのとき、同乗していたのがまだ恋人関係でなかった郁恵さんだった。渡辺さんが点滴中に救命士に「救急車を止めてください。牛丼を食べたい」と言うと、郁恵さんは渡辺さんの頭をパンと叩いたという。
伝説その3・殉職シーンを笑いに変えた撮影秘話
殉職シーンはそれぞれの刑事が印象的な最期を迎える最大のイベント。ラガー刑事はビルの屋上にいる狙撃犯と対決し、狙われたバスの乗客を守るため、狙撃犯と相打ちになり自らも被弾した。
ラガーは血まみれになりながらエレベーターまで這いながら進む。殉職シーンでは「なんじゃあこりゃ」に代表されるように死ぬ寸前にセリフを言うその演技に注目が集まる。
しかし、ラガーは仲間達がかけつけたときには既に息絶えていた。
のちに撮影秘話では、当初はラガーが力尽きたエレベーターの前に仲間が駆け付けるはずだったのに、揺れ動くお腹を見て全員が爆笑して撮影にならなくなり、ラガーの亡骸に全員が寄り添うシーンへと変更されたと。さらに、撃たれて倒れたときにはズボンのお尻が破けてしまったという。