長年にわたってプロ野球の現場を取材するスポーツライターは、「栗山さんは怒るかもしれませんが(苦笑)」と前置きしつつ、

「日ハムの監督を辞めたばかりの彼に白羽の矢が立った背景には、大谷への説得を期待するNPB(日本野球機構)の思惑もあったことは想像に容易い。“二刀流”を信じ続けて世界的スターへの育てた恩師からの誘いを無下にはできませんからね。

 プロ志望ではなくメジャー挑戦を表明していた大谷を指名したときもそうでしたが、栗山さんはマスコミの使い方が非常にうまい。“ファンのため”“子どもたちのため”という大義名分のもとで夢や理想を熱っぽく語られたら、悩んでいる選手も背中を押されてその気になってきますよ。

 有言実行とも言えますが、先に各メディアに“外堀を埋めて”もらうことで世論を動かし、既成事実を作り出してから本人と面会するという交渉術にも見えます。ダルビッシュに関しても、11月には札幌市内で開催されたイベントで、彼を含めた豪華投手リレー構想を興奮気味に語っていました」

鈴木誠也に公開ラブコール

 栗山監督の“ドリームチーム”構想はなおも止まらない。ダルビッシュへの“説得”が終わると、アメリカ・サンディエゴで開催されたWBCメディアデーに出席。ここでも、WBC出場は微妙と見られていた『シカゴ・カブス』鈴木誠也選手を「日本(チーム)の中心」と評して、

「僕の中では、誠也が1試合でも2試合でも(チームに)いてくれるならばというのはすごくあります。(メンバー登録の締め切りまで)ギリギリまで待ちます。2月まで待つくらい」

 全試合に帯同せずとも、貴重な選手枠を鈴木選手のために確保するという特例の“誠也ルール”構想をもぶち上げた模様。

「それだけ侍ジャパンに必要な選手である、と。プライドをくすぐられるでしょうし、ファンも主砲の合流に期待を膨らませてしまう。いや、既に“大谷やダルに続き、誠也も出場する”という流れになりつつある。

 でも、彼が置かれている立場は、メジャー屈指の選手に数えられる2人とは違う。メジャー1年目は怪我の影響もあって、チームが期待した成績を残せなかった。彼自身が一番わかっていることで、来シーズンの開幕に向けてコンディションを万全にしておきたいはずです」(前出・ジャーナリスト、以下同)