【6】フジテレビ『あしたのジョー』(1970年~71年)、OP曲『あしたのジョー』
作詞は昭和を代表する歌人で劇作家の故・寺山修司さん(享年47)、作曲・編曲は故・八木正生さん(享年58)、和製ロック歌手だった尾藤イサオ(79)が歌った。男臭く、力強いが、哀しい曲だった。
【7】NET『キャンディ(ハート)キャンディ』(1976年~79年)、OP曲『キャンディ キャンディ』
不朽の名作アニメ。軽快なOP曲はアニソンの女王・堀江美都子(65)とコーラスグループのザ・チャープスが歌った。累計でミリオンセラーになった。
【8】フジテレビ『世界名作劇場フランダースの犬』(1975年)、OP曲『よあけのみち』
清貧の主人公・ネロ少年と愛犬パトラッシュを描くアニメ。結末があまりに悲しく、日本中の子どもたちが涙した。
明るいOP曲はNET『エースをねらえ!』のOP曲なども歌ったアニソン界の実力者・大杉久美子(71)とアントワープ・チルドレン・コーラスによる歌唱だった。
【9】NET『バビル2世』(1973年)、OP曲『バビル2世』
歌ったのは水木一郎さんとコロムビアゆりかご会。抑揚の使い方が抜群にうまい水木さんにはうってつけの曲だった。男の子向けアニメだったが、曲は女性にも人気があり、JOY SOUNDのデータによると、現在カラオケで歌うのは女性33%、男性67%。
【10】フジテレビ『めぞん一刻』(1986年~88年)、初期のOP曲『悲しみよこんにちは』
古い木造アパート「一刻館」の管理人と住民たちの物語。世間はバブルの真っ最中だったが、作品は毎日を精一杯生きる普通の人たちによるハートフルコメディだった。
『悲しみよこんにちは』は森雪之丞氏(68)が作詞し、玉置浩二(64)が作曲。斉藤由貴(56)が歌った。バブルの風潮と逆行するように派手さを感じさせない曲で、1970年代中期前後のフォークソングを思わせるほどだったが、多くの人に支持された。オリコンチャートでは最高週間3位、年間19位に入った。
世の中が浮かれていた中、どんな時代でも避けられない「悲しみ」という普遍的なものをテーマとし、真摯に歌い上げられたからだろう。
取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。