さまざまな高校スポーツの競技人口が減少している
ラグビー以外でも競技人口が減ってきているものは多い。前述のインターハイへの合同チーム出場を認める動きになっている男子ソフトボールでは加盟校がまったくない県もある。事実、‘22年のインターハイでは北海道と秋田県からはエントリーがなかった。
こういったマイナーなスポーツの現状はどうなっているのか。“マイナースポーツ案内人”として多くのマイナースポーツを取材やプレーしてきた藤原昂亮(こうすけ)さんはこう話す。
「競技によって違ってきますが、最初からいきなり全国大会というものもあります。1つの学校では部員が足りないからほかの学校と連合してチームを作ることも多いです」
冬季五輪の人気種目カーリングも競技人口の問題になると厳しいようだ。
「全国大会では、高校単位で参加しているチームもあれば、県選抜チームとしての参加もあります」(藤原さん、以下同)
合同チームや選抜チームの参加も一つの手ではあるが、部員数を増やすことが解決につながる。だが、実際にはいくつもハードルがあるようで……。
普及活動もなかなか成果が出ない実情
「例えば、カーリングのような、練習や試合ができる場所が限定されるスポーツは部活動として成立できるかという問題にもなってきます。そういう環境の問題はウインタースポーツでは多いですし、川で行うカヌーなどのボート競技も同じです。
このようなハード面のほかに、専用の道具が必要であったり、しっかり教えられる人がいるかどうか。十分にプレーができる環境があるかないかで部活動として成立するか、地域のクラブチームのようなところでプレーせざるを得ないのかという差は出てきてしまいます」
普及活動も行っているが、なかなか成果は出ていない。
「競技の魅力を学校に教えに行き、体験してもらうことも徐々に増えていますが、1日や期間限定という形になってしまうことがほとんどです。部活動として根付くまでは至ってないのが現状です」
一方で“希望”もある。
「国が部活動を民間のクラブや指導者に委ねる地域移行という流れもあります。そうした動きで、願望ではありますけど、指導者問題が解決してほしいなという思いはあります。先生に限らず、教えられる人が地域にいればいいので、可能性は広がるかなと思います」
どの競技にもそこにしかない魅力がある。野球やサッカーのような人気スポーツだけではなく、いわゆるマイナー競技の部活動に汗を流す高校生にも、“密な青春”を過ごせる環境になってほしいものだ。