目次
Page 1
ー 本物にはない味わいのカニカマを目指して
Page 2
ー 人に元気を届けることが自分の仕事
Page 3
ー 褒めてもらうことの少ない中年にすすめる「ノート」
Page 4
ー モノマネ相手からも愛される清水ミチコさんの魅力

「若いなら、落ち込んだり緊張しても可愛げがあるけれど中年以降は痛いだけ。後ろ向きは見せないほうがプラス」

本物にはない味わいのカニカマを目指して

 コロナ禍ではYouTubeにも取り組み、人気を博しているモノマネ女王の清水ミチコさん(62)。

 清水さんがモノマネを始めたきっかけは、高校時代にテレビで見た歌手の矢野顕子さんのピアノ弾き語りに魅了されたことだった。

「どうしたら彼女になれるだろう」とのめり込んでいくうち、モノマネ芸が人気となり、ついには本人との共演が叶うまでに。

 しかし、そのとき隣に並んだ矢野さんを見て、“本物”と自分は似ても似つかないものだと悟ったという。

「普通なら落ち込むのかもしれない。でも、私は『一流のカニにはなれないけど、カニカマみたいなポジションで人に笑ってもらえる』ということにアイデンティティーを感じたんです」

 自分の不完全さも素直に出すようにしていると清水さんはにこやかに語る。

「気取ったことをやろうとしても結局どこか不自然。『よ~し、相手を冷やかしてやるぞ』くらいに開き直っていたからこそ、いつしか肩の力が抜けてきたのかもしれない」

 子どものころからの皮肉屋気質な発言がいつも周りからの笑いを誘っていた。家族のルーツをひもとくと、ひいおじいさんがキーになるとか。

「彼は自分が面白がるために、人をからかうのが大好きだったそう。それを知ったとき、『なんか、私に似てるな』と思って。

 私もどちらかといえば、人を冷やかすようなことのほうが得意。だったら生まれ持った個性を、のびのび活かせばいいと思ったんです」