7か国の病院に夫婦で足を運んだ
日本では1回の診断は4万~5万円、卵子や受精卵の凍結は保管料も含めると100万円以上、海外では渡航費や滞在費もかかる。
「本格的に不妊治療の世界に足を踏み込んで、すさまじくお金のかかることだと身をもって体感しました。でも、私は40代後半で時間がなかったので『自分の人生に後悔のないようにやれることはやる』と腹をくくりました。結局、7か国の病院の不妊治療を受けながら、世界各地のドクターから多くの妊活の知識を得ました。コロナ禍になり渡航できなくなってからは、国内の5つの病院に行きました。
費用は、通算10年以上もの妊活なのでかなりかかったと思います。夢を叶えるのは大変ですね」
40代後半になると更年期の症状が現れたり、閉経する人も出てくる。しかし、上田さんは月経も規則的で、排卵もしていたので、タイミング法にもトライした。
「タイミング法は、お互いにプレッシャーがかかり、夫婦仲がぎくしゃくしやすいもの。私たちの場合、年齢的なことも考えると最初から体外受精をするべきだったかなと思います」
一方で、愛犬を飼い始めたことが妊活にいい影響をもたらしてくれたという。
「妊活にストレスは禁物ですが、かわいい犬に癒されて、夫婦仲がとてもよくなりました。夫は犬を飼ったことで、子どもがいる生活をイメージできたようで、積極的に妊活に協力してくれるようになったのです。地方のクリニックを訪ねるときは、温泉もセットにして旅行気分で明るい気持ちを保つことを心がけました」
とはいえ、なかなか妊娠することができず、「これで最後!」と決めて、52歳のときに受精卵を移植することに。
「ダメでもともとという気持ちで、ドバイで凍結していた受精卵を海外で移植し、着床に成功しました。各国のクリニックを来訪しましたが、バンコクのクリニックはアメリカやドイツの最先端の生殖医療を取り入れ、日本よりもずっと進んでいたことに驚きました」