全裸になった藤里を問いただすと

「その日は、関東近郊にある旅館で撮影を行いました。最初は順調に撮影が進んでいましたが、私がベッドの上で衣服がはだけた状態になったとき、藤里はカメラを置いて、突然、全裸になって覆いかぶさってきたんです。

 驚いた私が、彼が全裸であることを問いただすと、彼は急いで下着を探しに行って……。その際、さすがに私も頭にきて、このおかしな状況をなんとか記録できないかと、藤里の姿を近くに置いてあった彼のカメラで撮影しました。この日はほかにも、入浴シーンの撮影時に全裸で同じ浴槽に入ってきたり……。“なんで、何度言ってもわからないのだろう。撮影前に約束したはず。私がおかしいのか。私が悪いのか……”そんな思いが頭を巡りました」

 週刊女性は、Bさんが撮影したという、下半身に1枚のフェイスタオルをあてた藤里の写真を確認している。

 どこかで聞いたような蛮行――。ほかでもない、Aさんが訴えた被害と酷似していることがわかる。2人の女性が被害を受けた時期からも、にわかに信じ難い事実が浮かび上がってくる。

 Bさんは2020年10月に、藤里による行為について《被害に遭ったと思っています》と、本人に対して明確に伝えている。Aさんが初めて被害にあったのが、2020年11月。藤里は、Bさんから被害を訴えられながら、翌月にはAさんに同様の行為をしていたのだ。

 藤里は、Bさんとの裁判において、撮影中の行為はあくまで同意を確認したうえで行われたものであると主張。その確認方法とは、「うなずくとか、アイコンタクトで」と語った。

「とにかく明るい安村のマネをした」

 2019年の撮影において、全裸でBさんに覆いかぶさった件については、「覚えていないが、服を脱いだのは、場を和ませるためにお笑い芸人の『とにかく明るい安村』のマネをしていたからだと思う」と説明し、これについても承諾があったはずだと主張した。

 裁判所は、背後からBさんの胸を掴んだ行為について、《うなずく等の仕草やアイコンタクト等により黙示的な同意をしたと認めるに足りる証拠はなく、むしろ、平成27(2015)年のやり取りではあるものの、過去に原告が被告に対して身体を触ることにつき注意していることにも照らすと、黙示的な同意があったとは認められない》と、その事実を認めた。

被害を訴えたBさんと藤里のLINEでのやり取り。言い訳と的外れな謝罪をされ、Bさんは真剣に向き合うほど気持ちを逆撫でされて「話がまったく通じないと」感たという
被害を訴えたBさんと藤里のLINEでのやり取り。言い訳と的外れな謝罪をされ、Bさんは真剣に向き合うほど気持ちを逆撫でされて「話がまったく通じないと」感たという

 全裸でBさんに覆いかぶさった行為が、『とにかく明るい安村』のマネをしたとする藤里の説明について《撮影中にそのようなことをする理由が明らかでなく、不自然であることから、上記主張は採用することができない。また、覆いかぶさることにつき、撮影のための必要性も明らかでなく、LINEでのやり取りに照らせば、原告の明示又は黙示の同意があったとも認められない》として、Bさんが主張する被害を認めた。

「私が望んでいたのは、性加害をやめてほしいということでした。そのために、自身のやったことが性加害であると認め、誠意のある謝罪がほしかったし、二度と性加害をしないと約束して、その約束をきちんと守ってほしかった。私自身、こんな嫌な気持ちを早く手放したかったし、この件から早く解放されたかった。

 対峙し始めたころは、真剣に話せばわかってもらえるだろうと思い、こちらから何度もその機会を作りましたが、のらりくらり自分勝手な言い訳と、その場しのぎの的外れな謝罪をされ、都合が悪くなると無視。真剣に向き合うほど気持ちを逆撫でされて……話がまったく通じないと感じました」

 意を決して行動を起こした後も、思いどおりに事が進んだわけではなかった。