ワケアリのご近所、毒親……レディコミが映す“人間の業”
人間の業はまだまだたくさん。ご近所や家族でのトラブルにまつわる話はいまも不動の人気を誇る。
【隣人トラブル】身近な地獄に興味津々
隣人ガチャにはずれたら、待っているのは地獄だ。「他人の体験談を読むことで、自分が生きている世界が特殊ではないという安心感や、『この人より私はマシ』という自己肯定感にもつながるのかなと感じています」(金田さん)。
念願のマイホームに引っ越したら隣人がワケあり。憧れの田舎暮らしを始めたら村八分など、逃げ場のない状況に苦悩、煩悶する登場人物から目が離せない。
■『事件!トラブル!本当にあったご近所ドロドロばなし1巻』なせもえみ(ユサブルCOMICS)
憧れの田舎暮らしのはずがフタを開けてみれば酔っぱらいの世話係!? 勘弁して!
■『ブラックご近所SP vol.2~騒音ジプシー〜』(竹書房)
エロあり、ゲスありのご近所の面々が繰り広げる地獄絵図。騒音家族、迷惑隣人などなど、町に溶け込む身近な敵がリアルで目が離せない!こんな町内いや!
【毒親】ボロボロの子ども、というNGテーマが好奇心を加速!
「子どもは守るべき存在だという倫理観が広まれば広まるほど、毒の意味は強くなります。理想の親という存在があるからこそ、その対照的な存在が毒親。深刻な問題ですけど、実話レディコミなら気軽に読めるのも特徴です。
さまざまなモンスター毒親がいて、これがすべて本当の話かと思うと背筋が凍ります」(吉村さん)
■『女のブラック履歴書 vol.4〈親ガチャにハズレた人生〉』(竹書房)
金の亡者の母に暴力父。「こんな親、ありえない!」と叫びたくなるほどひどい毒親のオンパレード。読むのがつらい! なのにやめられない!
■『本当にあった悲惨な生いたち Vol.44』(ぶんか社)
「本当にあったシリーズ」でも、人間の業の深さを特に思い知らされるドラマが詰まった一冊。
ひきこもり、うつ、リストカット……ズーンとこたえる陰惨な展開。レディコミは世相を映し出す鏡だ。
教えてくれたのは……
吉村和真さん
京都精華大学マンガ学部教授。専攻は思想史・マンガ研究。2001年の「日本マンガ学会」設立や、2006年の京都国際マンガミュージアム開館など、マンガ研究の環境整備と社会還元を推進している。
京都精華大学マンガ学部教授。専攻は思想史・マンガ研究。2001年の「日本マンガ学会」設立や、2006年の京都国際マンガミュージアム開館など、マンガ研究の環境整備と社会還元を推進している。
取材・文/ガンガーラ田津美