部下にとって上司はもはや目標ではない
「この課題で何をすべきか(What)を投げかけ、具体的にどうするか(How)は部下に任せる。“君はオレよりうまくできるはずだから、そのお手伝いをしたい”というスタンス。そういう組織なら部下も仕事が楽しくなる。上司は自分を超える部下を育てなければいけない」
上司に倣いひとつひとつ仕事を覚えたのは昭和の話。今の時代、部下にとって上司は目指すべきものではないのだ。その背景に世代間のデジタル格差がある、と小倉さん。
「Z世代といわれるデジタルネイティブは常にネットで最新かつ正しい情報を手に入れている。昭和の世代と情報の接し方が大きく違い、上司のほうが勉強不足だったりする。だから必ずしも上司の言うことが正しいとは思っていない。
GoogleやAmazon、Appleなど世界的大企業のあり方を知っていて、本来のリーダーってこんな人なんだとあるべき姿がわかっている。そういう目で見ると、“今どき何でまだこんな昭和なことやってるの?”となる。そうなると上司はキツイ。だから上司は変わるしかない」
世界を動かすトップリーダーたちと比べられてはどんな上司も理想像とはほど遠い。まずは上司の側が認識を改め、自身の振る舞いを見直していく必要がありそうだ。ただ中間管理職となると、それだけでは済まないようで──。
「企業研修をすると、課長クラスの中間管理職は“自分もこの先変わりたい”と言う。同時に“だけど部長は昭和のままで変わらないんですよね”とも言っています。“どうすれば上司を変えることができますか?”とよく質問を受けます。
僕は心理学者の言葉を引用して“過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる”“だから上司を変えようとしないでみなさんが会社を変えていくのです”と伝えています。変わらない上司を変えようとせず自分たちが上司に取って代わる。そんな気概を持ってほしいと話しています」
(取材・文/小野寺悦子)