降りるときにわざとぶつかってくるのナゼ

 3位は『乗降時のマナー』(27.0%)。ドア付近に陣取って乗降の妨げになっている利用者や、整列乗車時の割り込み・駆け込み乗車へのクレームの声は多い。

「混雑時の“ドアの前から絶対に動かないマン”は本当に迷惑。一回ドアの外に出てほしい」(32歳・男性・神奈川県)や、

「乗降時にわざとぶつかってきたり、力任せに押し出してくる男性も少なくない。転んでケガをしそうになったこともある」(62歳・女性・京都府)など、安全を脅かす行為も多いようだ。

「スムーズな乗降を妨げるような行為は、電車の遅れにもつながり、ケガや事故の危険も伴います。

 駅員の誘導や乗車時のアナウンスの徹底など、整列乗車は各社が強化していきたいところでもありますので、呼びかけに従いながら、安心・安全へのご協力をお願いいたします」(越智さん)

 4位には『荷物の置き方・持ち方』(24.0%)が入っている。通路を妨げないようにリュックを胸の前に持つといったマナーも、近年は随分浸透してきたようで、エピソード調査では大型のキャリーバッグやベビーカーについての意見が多数。

「スーツケースをドア付近に放置する人がいる。倒れて、人にぶつかるのを見かけた」(45歳・女性・千葉県)、「混雑時のベビーカーは迷惑。大事な赤ちゃんを危険に晒す行為でもあるのでは」(63歳・男性・兵庫県)という声も。

「ベビーカーについては、近年は折りたたまずにご利用いただけるよう、案内をしている会社がほとんどです。一方で、やはり一定のスペースを占めてしまうのも事実。

 最近は混雑状況をリアルタイムで確認できるスマホアプリなども出てきているので、そういったものもうまく活用しながら、できるだけ混雑時を避けてご利用いただくとよいかと思います。

 また、周りのお客様には、ベビーカーのお客様を温かく見守っていただけるよう、お願いいたします」(越智さん)

 5位は、『周囲に配慮せず咳やくしゃみをする』(22.3%)。昨年の4位から1つ順位を落としたものの、「このご時世にノーマスクで乗車する人は、やはりモラルに欠けていると思う」(55歳・男性・長崎県)など、依然として気にする人が多いようだ。

「政府の方針では屋外は原則マスク不要とのことですが、鉄道各社は今もマスク着用でのご利用をお願いしているところが多いです。今後の状況に応じて、マスクの要不要のルールも変わっていくと思いますので、各鉄道会社のお知らせをご確認ください」(越智さん)

 ほかにも、歩きスマホやイヤホンからの音漏れ、泥酔や嘔吐へのクレームなど、電車や新幹線でのトラブルエピソードは多様化を極めるが……。

「痴漢や暴力などの明白な犯罪行為は論外ですが、マナー問題は利用者ひとりひとりの意識や思いやりによって解決することも多くあります。

 皆さまに気持ちよくご利用いただけるよう、今後も啓発活動を継続してまいります。 もし何かトラブルが起きてしまったときには、お近くの乗務員や駅員にお声がけください」(越智さん)

ひじ掛けの設置やシート形状などの設計改良によってマナー違反を防ぐ新車両も ※画像はイメージです
ひじ掛けの設置やシート形状などの設計改良によってマナー違反を防ぐ新車両も ※画像はイメージです
【写真】『駅と電車内の迷惑行為ランキング』をチェック!

 他者への配慮を忘れず、何より自分が“モンスター”にならないよう心がけたい。

(取材・文/吉信 武)