印象に残った芸人を聞いたところ、前出の成田さんとドラマウォッチャーの神無月ららさんは、共にほっしゃん。こと星田英利の名前を挙げる。
「『カーネーション』で尾野真千子さんが演じる主人公の糸子と事あるごとに衝突するも仲良くなり、ビジネスパートナーとなるほっしゃん。さんが印象に残りましたね。彼は『おちょやん』の喜劇役者役もよかったです」(成田さん)
笑福亭鶴瓶のルックスは100点だった
「ケンカ寸前?と思わせるほど、遠慮のない糸子との丁々発止の掛け合いが“さすが関西のお笑い芸人”とも“え?ほっしゃん。ってこんなに演技うまいんだ?”と思わせる、新鮮な驚きに満ちていました。ほっしゃん。のキャリアを芸人から役者業に転換させる、決定的な一作になったと思います」(神無月さん)
逆に芸人ということで悪目立ちしてしまう場合もある。
「1985年放送の『澪つくし』にラッパの弥太郎役で出演していた明石家さんまさんですかね。関西から流れてきた職人で、お調子者で、ケンカしたりスケベだったりと物語をかき回す役だったのですが、最後は女を追いかけてフェードアウトするという尻切れトンボな描かれ方だったので、ちょっと悪目立ちしてしまったかも。でもこの翌年『男女7人夏物語』に主演して高評価を得ているので、演技を学ぶいいステップアップになったのかもしれませんね」(成田さん)
神無月さんは笑福亭鶴瓶の名前を挙げる。
「山口智子さんがヒロインとして出演した1988年の『純ちゃんの応援歌』にて、主人公・純子を慕う疎開先のお坊ちゃま、正太夫役で出演していました。ヒロインにずっと恋し続けるも報われない。そしてお互いに結婚してからは友情でずっと結ばれる正太夫は、だらしなくて不器用だけど憎めない。
その“憎めなさ”を体現したような鶴瓶さんのルックスは100点でしたが、演技力が少々追いつかない印象でした。正太夫の叔父役で、同じく噺家の桂枝雀さんが名演だったのも、当時の鶴瓶さんの演技の未熟さを際立たせてしまったかもしれません」