不安をうまく楽観に切り替えて

 私生活では、'13年に菅野美穂と結婚。2年後、長男も生まれている。

 そんな堺が50歳を前に、28年間所属した大手事務所から独立、フリーになった。人生2度目の大きな転機だろうか。

 所属していたのは、芸能界において真の最強事務所ともいわれる田辺エージェンシー。早大中退の大先輩・タモリもいる。田邊昭知社長は週刊誌の取材に《引き留めてもうまくいくわけないじゃない。もう一緒に仕事なんてできないよ》とコメントしており、干されるのでは?という見方も飛び出した。

 が、堺は『日曜劇場』(TBS系)の枠で7~9月期に主演ドラマが決まっていて、そこには田辺の若手女優も出ると報じられている。独立後も古巣とはウィンウィンの関係が保たれるのかもしれない。

 それ以上に、本人がなんとかなると思っているのでは、とも感じてしまう。大学をやめてもなんとかなった、あのスリルをまた味わうのも悪くない、そんな胸中を想像するのだ。

 前出の本でも、彼が不安を漏らしているのは引用した部分くらいだ。あとは《運がいい》とか《作品にも恵まれている》といった前向きな言葉が並び、全体の内容からもどこか飄々として楽観的な雰囲気が漂う。

 要は、不安を楽観に切り替えるのがうまいのだろう。このあたりが『半沢直樹』のような逆転劇が似合うゆえんだ。今回の独立も、本人はさほど転機だとは思っていないのかもしれない。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。