当時は『スカパー!Jリーグ2012オフィシャルサポーター』を務めていた乃木坂だけに、この日もいわばJリーグ公認の立場で公式応援ソングを熱唱。しかし、キックオフから1時間以上も前のパフォーマンスにもかかわらず、浦和側スタンドから容赦ないブーイングが浴びせられたのだ。
殺気立った異様な雰囲気の中で仕事を全うしたメンバー16人。「何も反応がないよりは、反応をもらえただけでうれしかったです」と健気に答えたのは当時、乃木坂の一員としてピッチに立った、埼玉在住だった現テレビ朝日アナウンサーの斉藤ちはる。この騒動が広まると彼女たちには同情の声、浦和サポには批判の声が向けられた。
サポーターの“罪”をチームが負う
そんな行き過ぎた応援に明確に鉄槌が下ったのが2022年7月。コロナ禍で声出し応援を禁止とするルールが定められたにもかかわらず、浦和サポが再三の注意を無視してブーイング等の声出し応援を繰り返したことが問題視される。
Jリーグで開かれた臨時実行委員会後、野々村芳和チェアマンは浦和レッズに対して2000万円の制裁金を科し、以降も確認された場合には無観客試合や勝ち点剥奪のペナルティーを発表。サポーターの“罪”をチームが負うという、厳しい態度が示されたのだ。
「ただ騒ぎたい、暴れたいだけのサポーターは言語道断ですが、おらがチームを応援したい、勝たせたい気持ちはわかりますし、芸能人がピッチに立つことで大事な試合前に“水を差さされたくない”と苛立つ気持ちもわからなくはない。
それでもJリーグはスポーツであり興行でもあるわけで。チームを支えているのはサポーターだけでなく、多くの企業やスポンサーの尽力があって成り立っています。自分達の行動ひとつでチームに迷惑がかかることも理解して、これも“サッカー”だと思って見守ってほしいですね」
来たるJリーグ開幕戦。スタジアム内の誰もが楽しめる1日になることを。