北海道から東京の病院へ、セカンドオピニオンを受けに行ったこともあった。
「人気の医師は予約が埋まっていて、1~2か月先といった状態は珍しくありません。待っていたら病気が悪化してしまうので、みずきの場合は検査や治療を進めながら、セカンドオピニオンを受けました」(こうへいさん)
さらに、もっと考えておけばと悔やんだのが家族歴だ。
「母方の祖父がすい臓がんになっていたので、リスクを早めに考えておけばよかったです」(みずきさん)
「『やりたいことリスト』が私の原動力のひとつにもなっています。ディズニーランドへ行く、オランダ旅行へ行く、日本一周旅行を再開するなど、50以上の項目を挙げています」(みずきさん、以下同)
「楽しいことは当たり前ではない」
やりたいことリストはブログでも公開。こうへいさんは「みずきのやりたいことは全部叶える!!」と、常々意気込んでいる。
「実はディズニーランドへ行くというのは、すでに叶えています。最初の入院前に検査の待ち期間があったので、母も含め3人で行きました」
がんの治療というと、長期入院を想像していたみずきさん。自由に動けるうちに行っておこうと計画したとか。
「現在5クール目を終えたところですが、がんがかなり小さくなっていることが検査でわかりました。この結果には担当医も驚いていましたね」
検査結果を聞く前に、すでに良好な状態を自覚していたみずきさん。
「痛みがほとんどなくなっていたので。以前は痛み止めを毎日飲んでましたが、必要なくなりました」
当人の前向きな気持ちが、がん細胞に打ち勝ったのか。
「この春には、私の長年の夢だったオランダ旅行を計画しています。医師のお墨付きをいただけたので、このままいけば実行に移せそうです」
と、笑顔を見せた。良好な結果はうれしいことだが、広く伝えたいのは、
「誰にでもフォルフィリノックスで効果が表れるとはいえないということです」
がん患者やその家族などのフォロワーが増えたことで、夫婦は注意深く何度も説明していることがある。
「がん治療は人それぞれで、私はその一例にすぎない。主治医と話し合い、自分が選択した方法が最善の治療だと信じてほしいですね」
がん治療で悩む人たちの助けになりたいと、細かに治療経緯を公開しているが、人気ユーチューバーとして影響力が強いことを自覚し、発言には気を使うようにもなった。
そんな中「すい臓がんはウソなのでは?」などと、心ないコメントが送られることもあり、心を痛めている。一方、みずきさんが喜ぶコメントは、フォロワーの些細な日常だとか。
「日常が闘病ばかりになりがちなので、ちょっとした普通の出来事を報告してくれるコメントにホッとします」
日常が日常でなくなるがんの闘病生活。
「ディズニーランドに行ったとき、『楽しいことは当たり前ではない』ことを実感しました。動けるうちに動いて、こうへい君と一緒に人生の楽しみを増やしていきたい」
この先に向けたみずきさんの瞳は、希望に満ちていた。
◆みずき流 がん治療を乗り越える5つのポイント
1、信頼できる情報を集める
2、自分が選んだ治療法を「必ず効く」と信じる
3、感情に流されず、心をフラットに保つ
4、副作用がつらいときは楽しいことを考える
5、これから叶えたい夢を持つ!
「サニージャーニー」とは 車で日本一周を目指す、旅系ユーチューバー2人組。みずきさんの婚約者だったこうへいさんが動画撮影、配信を担当する。昨年末に結婚し、夫婦2人で病気に立ち向かう。ブログでも発信中。
https://ameblo.jp/sunnyjourney/
取材・文/ますみかん