家族が仲の良いのは素晴らしいことなのですが、婚活シーンで家族の話をするときには、言い方に注意が必要です。「実家の居心地がいい」、「父と母は自分の結婚について、こんなことを言っている」「家族からこんな婚活のアドバイスを受けている」など、“家族とは風とおしのいい関係を築いている”という類の話をすると、個人として自立していない印象を与えてしまいます。また、家族の自慢話も御法度。それらの話題は、お相手から敬遠される要因になります。
仲人をしながら婚活現場に関わる筆者が、目の当たりにしている婚活事情を、さまざまなテーマ別に考えていく連載。今回は、お見合いやその後のお付き合いで家族の話をして、お相手から敬遠された事例を見ていきながら、家族の話をするときの注意事項を一緒に考えていきましょう。
姉には頭の上がらない弟
“親や兄弟姉妹の仲が悪かった”という話をされて、心地よく感じる人はいないでしょう。それは誰にでもわかることなのですが、家族が仲の良い話をして、それがなぜ相手から敬遠されることにつながるのでしょうか?
まずは、こんな事例から見ていきましょう。
まことさん(38歳、仮名)は、実家暮らし。父親はずいぶん前に亡くなり、今は母親(70歳)と2つ上の姉と生まれて半年になる姉の子どもと暮らしています。姉は、出産後すぐに離婚して、実家に子どもを連れて戻ってきました。
入会面談のとき、まことさんはこんなことを言っていました。
「結婚を考えるようになったのは、母親になった姉を見た影響が強いです。たまたま姉は結婚に失敗しましたが、母になった姉や子どもの存在を目の当たりにして、僕も家族を築いてみたいという気持ちが強くなりました。今は母が子育てをサポートしています。僕も手伝えることは手伝っていますよ」
ご家族みんなでお子さんを可愛がっている様子が伝わり、仲人の私は微笑ましく思ったのですが、これが婚活女性となると受け取り方が違ってくるようです。お見合いをして、交際になっても1、2度デートをすると女性からお断りがくる。なぜなのだろうと思っていたら、あるとき、こんなお断りの理由が添えられていました。
「お見合いのときも、お付き合いに入ってからも、いつもご家族の話をされるようです。先日は、『昔からわが家は、女性陣が強い。僕は子どものころから、姉に手下のように扱われていました。今も出戻って実家にいるんですが、使い走りをさせられることがしょっちゅうです』と楽しそうに話されたと言うんですね。それがとても頼りなく思えたようです」