認知能力の低下が起きやすくなる特徴
どういう人に認知能力の低下が起きやすくなるのか。
「特に高齢者で一人暮らしの方、ご夫婦で暮らしていても2人ともかなり高齢の場合の方に起きやすいです。社会的に逸脱したことが起こるというのは、社会的に孤立した状態で暮らしているということ。
高齢になると、子どもたちが家から出ていったり、同級生や近所で仲の良かった人たちが亡くなって、交流がなくなってくる。そうすると自分の認知能力の状態を知る機会がなくなり、外に出た時に、いわゆる迷惑行動をとってしまうことがあります。
逆に言うと、何かしらのグループの中にいれば防ぐこともできると考えられます」(加藤先生、以下同)
家族や地域社会が支えるにも限界はある。
「こうした迷惑行為が起こるのは、さまざまな意味で国の対策が及んでいないことの表れだと思います。高齢になれば認知能力が下がるというのは誰にでも起こりうること。
病院に来た人の認知症対策だけでは不十分で、ある一定の年齢に達した高齢者の健康診断や認知検査を定期的に行うことを義務化するなど、国家レベルの対策が今後必要になってくるのかなと思います」
総務省統計局によると‘22年9月時点の推計で、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は29.1%と過去最高を記録した。超高齢社会を進んでいく日本。個人や家族に任せるのではなく、国レベルで積極的な対策を練る段階にきているのかもしれない。