目次
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ー エストロゲンは皮下脂肪で増える!
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ー ホルモン補充療法にも十分なケアを ー 早期発見には検診と日頃のチェックを
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ー Case1:Aさん(68歳)自覚症状を2年間放置……抗がん剤が必要に

 今や、日本人女性の9人に1人が乳がんに罹患するといわれている。国立がん研究センターによると2020年の乳がんによる死亡者数は1万4650人。

 元SKE48メンバーの矢方美紀さん(30)、タレントで参議院議員でもある生稲晃子さん(54)など、乳がんの闘病を公表している芸能人も多い。

エストロゲンは皮下脂肪で増える!

 乳がんは、母乳を分泌する乳腺や乳管から発生し、進行するとリンパ節や肺、肝臓、骨などに転移する。

 この乳がんを増殖させる原因のひとつが、女性ホルモンの「エストロゲン」だ。主に卵巣でつくられる女性ホルモンで、乳がんの6割はエストロゲンの影響を受けて増殖する。

 エストロゲンの分泌は若い女性のほうが多く、出産後、授乳中、閉経後には分泌量が下がる。閉経すれば乳がんのリスクが減りそうなものだが、実はそうではない。

 いながき乳腺クリニック院長の稲垣麻美先生は、若い人だけでなく、高齢の女性でも油断はできないと話す。

「確かに、閉経すると乳がんを増殖させるエストロゲンは卵巣ではつくられなくなります。でも、別のところでつくられ続けていることがわかっているのです」

 閉経後のエストロゲン増加に影響するのは、実は皮下脂肪だ。

「皮下脂肪からは、アロマターゼという酵素がつくられます。アロマターゼは男性ホルモンのアンドロゲンを女性ホルモンであるエストロゲンに変換する働きをします。

 そのエストロゲンは、卵巣でつくられていたエストロゲンと同様に乳がんの細胞を成長させるため、皮下脂肪が多くアロマターゼの量が多い人のほうが、体内のエストロゲン濃度が高くなり、乳がんを引き起こしやすくなるわけです」

 最近、お腹まわりやお尻が気になる、二の腕がたるんできた……という女性は特に要注意だ。

「クリニックに来院される患者さんの中にも、『閉経すれば妊娠や授乳をもうしないのだから、乳がんにもならない』と考えている人がいます。しかし、乳がん患者全体の増加に伴って、閉経後の乳がん患者数も右肩上がりに増えています」

 閉経したからといって油断は禁物なのだ。閉経後の乳がんリスクを下げるためにも、日頃から体重の増加には気をつけたい。