ホルモン補充療法にも十分なケアを
また、更年期障害の改善などにも使われる「女性ホルモン補充療法(HRT)」という治療を受けている人も、乳がんのリスクが高くなることがわかっている。
この治療法はエストロゲン自体を付加するため、丁寧に経過観察を行っていく必要があるのだ。
「女性ホルモンには、自律神経を落ち着かせてくれたり、骨や心血管のコンディションをよくしてくれたりする効果もあるので、一概に悪者とはいえません。
ただ、乳がんに対して直接的に影響を与えるものではあるので、投薬による治療でホルモンバランスをコントロールしたり、定期的な乳房のチェックを行うことで、しっかりと乳がんのリスク管理をすることが大切になってきます」
早期発見には検診と日頃のチェックを
乳がんは、自分で見つけることのできる数少ないがん。しかも、早期発見さえできれば、元の生活に戻れる可能性が高い。
国立がん研究センターの集計によれば、乳がんの最新の5年生存率は発見時にステージゼロで100.0%、ステージ1なら99.8%、ステージ2なら95.5%、ステージ3であっても80.7%という高い数値となっている。
だからこそ、異変を感じたら、一刻も早く受診するのが賢明だ。
「日頃の乳がん対策には『ブレスト・アウェアネス』と呼ばれるセルフチェック法のなかの、自分で行う触診が有効です。特に閉経を迎えると、女性の胸は柔らかくなるため、触ったときにしこりが見つけやすい。
ぜひ、チェックを心がけてほしいです。もし異変に気がついたら、すぐに乳腺外科や乳腺クリニックを受診してください」
毎日の入浴や着替えの際に、触って確認する習慣をつけてしまえばラクだ。
また、日本では40歳以上の女性に対してマンモグラフィー検診を受けることが推奨され、各自治体で無料、または安価で受けられる。2年おきの検診と日頃の体重管理で、閉経後の乳がんリスクを少しでも低くしておきたい。