コンサート会場としては不人気
くり返すが年間の維持費は約24億円。現状のスケジュールでペイできるとは到底思えないが……。
「新国立競技場としては、コンサートを12回、サッカー日本代表戦の試合は8回程度年間で見込んでおり、それにJリーグやラグビー、そして安価ではあるものの陸上大会の使用料をプラスする形で賄うと考えていたようですが、この現状となっています。日本代表は別としてJリーグの試合で満員になることはほぼありません。
芸能系のコンサートが開催されれば大きな収益が得られますが、あまり利用されていません。当初の予定より建設費が倍以上かかってしまったことで、開閉式の屋根を中止するなど費用を抑えた計画に変更しました。
さらに暑さ対策で風通しに重点を置いて建てられたこともあり、音漏れの問題が生じ、事実、嵐など複数のアーティストのコンサートで音漏れによるトラブルが起こっています。結果、騒音対策が不十分という理由でコンサートなどのイベントに選ばれづらくなっています。
コンサート利用はステージの設置などで芝生が痛んでしまうことが多く、実際にいちばん利用されているのはサッカーの試合開催であり、芝の痛みを考えるとそもそもでコンサートを年12回開催するという見込み自体が非現実的といえるのですが」
旧国立はどうだったのか。
「旧国立の収益は年間8億円ほどで、維持費も同額か多少それを上回るくらいだったそうです。前回五輪である'64年大会後も維持費の捻出に苦しみ、旧国立はトレーニング施設やサウナといった新規事業を立ち上げました。維持費で困っているのは旧国立時代から続いている話とは言えますが、額が大きくなっていますからね……。
新国立もなんらかの事業を始めるなどしないと高額の維持費に税金がたれ流し続けられることになってしまいます。計画はずさん、見込みも甘い、対策は不十分と、まさに税金の無駄遣いといえるでしょう」
新国立競技場のホームページを見る限り、イベントでの競技場使用料以外は、【国立競技場スタジアムツアー】(参加費=大人:1,400円/高校生以下:800円)、【VIPエリア&展望デッキツアー】(参加費=大人:3,000円/高校生以下:1,500円)、そして【グッズ販売】のオンラインストアになる。
1569億円かけて建てられ、年間24億円が注ぎ込まれ続ける競技場を見学したり、競技場のイラストが描かれたグッズを好んで買う人は果たしてどれだけいるだろうか。
レガシー(世代から世代へ受け継ぐ遺産)とは……。