『昼顔』北野乃里子(2014年、フジテレビ系)
主演は上戸彩、相手役に斎藤工を迎えて“不倫の恋”という禁断のテーマに挑んだフジテレビの作品。当時一大ブームを巻き起こし、ドラマ編のラストから始まる映画も作られた、平成末期の恋愛ドラマの代表作。
「本来は不倫する2人が責められるべきなのですが、子づくりに協力的でない紗和(上戸)の夫や、自身も不倫の過去がある乃里子(伊藤歩)は、裕一郎(斉藤)をぞんざいに扱いながらも、不倫を嗅ぎつけるやいなや夫に執着し始めるその描き方がリアルで、“こんな配偶者なら逃れて不倫の恋に走っても致し方ない、応援したい!”と視聴者に思わせた脚本家、井上由美子氏の筆運びは見事」
と、神無月さん。
「“そんなことしたら殺すからね、相手の女”と、乃里子は裕一郎への脅し文句を放ち、紗和には平手打ちをします。嘘の妊娠や駆け落ちした2人を捜し出し、弁護士と双方の親を同伴させて、不倫した際の損害賠償文言の書類も作成する乃里子、全部怖すぎました」(神無月さん)
映画では乃里子の暴走が思わぬ悲劇を生むことに─。最後まで憎まれたライバルだった。
『リコカツ』一ノ瀬純(2021年、TBS系)
2021年のティーバー再生回数歴代1位を記録した、北川景子と永山瑛太主演の夫婦ドラマ『リコカツ』。
紘一(永山)の自衛隊での上司にあたる一ノ瀬純(田辺桃子)がぐいぐいと2人の間に割り込もうとする様は、ネットでも大きな反響を呼んだ。
「純は職場で紘一といる時は良き自衛官然として一線を引き、むしろ男っぽいのですが、咲(北川)に対しては全開で古典的な嫌がらせをしてくる。その二面性にカチンとくる視聴者が多かったと思います」(神無月さん、以下同)
純が紘一に手料理を差し入れると「煮物女」「筑前煮女」というワードがツイッタートレンドにあがるほどの反響が。
「個人的にはキャンプ場で人けのない場所に咲を置き去りにしたのが許せず、自衛官としての正義はどこにあるんだ!と思ってしまいました」
『東京ラブストーリー』関口さとみ(1991年、フジテレビ系)
織田裕二演じる主人公・完治(カンチ)が選んだのは、もうひとりの主人公・リカ(鈴木保奈美)ではなく、学生のころから片思いしていたさとみ(有森也実)。
「さとみは主人公に勝った正にレアケースの恋敵でした。江口洋介演じる三上への思いを諦めた途端にカンチに目を向ける変わり身の早さと、おでんで男の胃袋をつかみにいく旧態依然としたテクニックを持つさとみ。
彼女は攻撃的な女ではなかったですが、奔放な主人公・リカに憧れる当時の女性視聴者からのヘイトを集めるには十分だったんですよね」