疲れるほどは逆効果軽めで十分!
まさにメリットだらけともいえる運動。これは張り切ってやるしかない!と意気込みたくなるところだが、「身体が疲れ、筋肉痛になるほどやると体内で活性酸素が発生してしまい、かえって病気や老化の原因に。免疫機能も下がってしまいます。運動するときは“疲れない程度に毎日やる”のがポイント」と石黒先生。
加えて、運動のタイミングとしては朝の空腹時がおすすめだそう。
「私も、朝起きてすぐのトレーニングを習慣としています。理由は成長ホルモンが効果的に分泌されるからです。成長ホルモンは骨や筋肉量の維持のサポートやさまざまな病気の予防にもつながるものですが、大人になると分泌量は大幅にダウン。でも、空腹時や運動時は分泌量が多くなるので、起き抜けの空腹時に運動すると効率よく分泌を促せるのです」(石黒先生)
どのくらい運動したらいいのかというと、石黒先生は「トータル2分から」と話す。
「全身の大きな筋肉を使う全身トレーニングが理想で、最初は3種類の筋トレをやるといいでしょう。『全力で30秒やって、15秒休む』を繰り返してトータル2分。慣れてきたらほかの筋トレをプラスするなど、アレンジを」
佐藤先生は「運動が負担に感じる人なら、日常生活の中で、ちょっとキツい動作を心がけるのも手」と言う。
「日常生活の中で行う1~2分程度の激しい動きを“ヴィルパ”といい、1日にヴィルパがまったくない人に比べて、1日に3回ヴィルパがあった人は、30~40%もがんの死亡リスクが低下したという観察研究が発表されました。
私も日常の中での運動を意識していますが、バスに乗り遅れそうになって速足で追いかける、ペットとの散歩で速足をする、階段を駆け上がる、ちょっとキツい掃除をするという程度のものでいいのです。これなら意識すればできるのではないでしょうか」
また注意したいのが、長時間の座りっぱなし。
「仕事やテレビを見るなどで、座ったままの時間が長い人は要注意。がんのリスクが上昇する傾向にあります。運動不足やメタボになりやすく、それにより、がんの一因である慢性炎症を引き起こすためです。スクワットをしながらテレビを見るとか、デスクワーク中は1時間ごとにストレッチをするなど、座る時間を減らすよう心がけましょう」(佐藤先生)