たばこを吸わないから肺がんは大丈夫
喫煙は「確実」ながんの危険因子です。しかも、肺がんだけではなく、乳がん、大腸がん、胃がんをはじめ、他のすべてのがんのリスクになります。
何よりも問題なのは、たばこをまったく吸わない人でさえも肺がんのリスクにさらされてしまう「受動喫煙」です。
こうした状況を受けて、2020年4月からは改正健康増進法が施行され、受動喫煙が全面禁止になりました。
これは科学的な根拠に基づいた決定策であるにもかかわらず、嗜好としての「たばこを吸う権利を奪うな!」と主張するスモーカーの政治家や著名人もいるようです。
その人たちが周囲の人に肺がん発症リスクを与えていい権利まではありません。
お酒は少ししか飲まないから肝臓がんは平気
飲酒が人生の楽しみだという人もいるでしょう。けれども喫煙と同じく飲酒も、すべてのがんについて危険因子になっています。
とりわけ、お酒を飲むと顔がすぐに赤くなりやすい「フラッシャー」の人は要注意です。というのも、日本人の4割を占めるフラッシャーの人にとっての飲酒は、食道がんや頭頸部がん、そして肝臓がんの発がん物質を飲んでいることと同じだからです。
アルコールが体内で分解されていく途中で、アセトアルデヒドという有害物質が生まれます。二日酔いによる頭痛や吐き気、動悸はこの有害物質が原因で、発がんの危険因子でもあります。
ところが「フラッシャー」の人の多くは、アセトアルデヒドを無害な酢酸に分解するために必要な酵素がよく働きません。
そのため血液中にアセトアルデヒドがたまりやすく、発がんのリスクが高まるのです。そんなに量を飲んでいない人でも要注意なのです。
また、フラッシャーではなくても、女性は男性よりもアセトアルデヒドが血液中にたまりやすく、アルコール依存や肝臓の障害を起こしやすいとも言われています。くれぐれも、節度ある飲酒を心がけてください。