米津や常田とは異なる、Vaundyの敷居の低さ

「あくまで僕の意見ですけど、彼のあのキャラはすごく可愛いと感じます。眼鏡にチリチリパーマ、あの動き。“可愛い”って言いたくなるというか。キュートなものは、女性は好きですよね? ひょっとすると、そこまで意識してキャラを作っているのかな、という気もします」

 例えば米津玄師や、常田大希(King Gnu)らはイケメンアーティストだが、

「なんかカッコよすぎちゃって、近づきがたい感じはありますよね。もちろん、それはそれで女性にウケていますが、Vaundyくんは違う方向で自分の音楽を広めようとしている感じはします」

 米津玄師や常田大希のことを“好き”と公言することは、その音楽性ゆえなのか、男性の好みとしてなのかがはっきりしない側面もありそう。よってカジュアルに“好き”とは言いづらい雰囲気も……。

「一方で、Vaundyくんへの“好き”は敷居の低さがあるかもしれません。そして、洋楽アーティストもVaundyくんにシルエットが似た、キュートタイプがたくさんいます。“世界でいちばん売れている”とも言われるサム・スミス、エド・シーラン……。やっぱりルックスよりも、作詞作曲能力。そんなアーティストは海外では普通なんです」

 B'zやBOOWYなど、今まで“アーティスト=スリム”というイメージもあったが、

「ロックバンドはカッコつけてなんぼ、の世界ですからね(笑)。今は多様性の時代。そのままの自分で出てきているだけなんだと思います。

 それに昔は自ら楽器をマスターしたうえで楽曲を作っていましたが、今やケータイひとつで、専門的な知識や技術なくして曲が作れてしまう時代。音楽ソフトの普及によって、誰でも音楽で楽しく遊べる環境がすごく整ったんですよね。だから“俺が、俺が”といった尖った側面は薄れ、若いアーティストたちにはマルチでポジティブでフレンドリーな雰囲気があるんだと思います」

 また、Vaundyの歌詞にはやさしさがあるとも指摘。

「すごくキツイことを歌ったりしない。強いメッセージよりも、思いやり。彼の音楽は優しい世界を作っているように感じます。そんなソフトさに加え、作れる楽曲の幅がものすごく広い。たぶん、どんな人に依頼されても、イメージ通りの曲が書けると思います。そんな人を輝かせる才能もあります。そのあたりも、スポットライトを浴びているだけのアーティストとは立ち位置が違いますね」

 女性に限らずアーティストたちがこぞって“プロデュースしてほしい”“一緒にやりたい”と熱望するのも至極当然。

「また彼は美術系の大学でデザインを学んでいる現役大学生でもあります。曲を作って歌って、ミュージックビデオなどの動画も撮って、イラストも描く。本人はインタビューで“全部自分の中で同列”“全部あってのアーティスト活動”と語っています。

 おそらく自己表現というよりも、“Vaundy”というキャラクターを真ん中に置き、フィーチャーリングをしながら、まるでテーマパークのような壮大な“Vaundyワールド”を構築している最中のように感じますね」