カリスマ性はもう古い? 大切なのは“信じる覚悟”か
金メダリストを育成したメンタルコーチングで、経営者や管理職を対象にリーダーシップ教育を実施している飯山晄朗氏(人財教育家・メンタルコーチ)は、まずは若者を取り巻く環境から挙げた。
「ここまでIT技術が進歩した昨今、Z世代は“正しい情報”にすぐにアクセスできるから、もしネットやSNSで知り得た“正解”と、指導者や上司が言う内容に齟齬があれば、本当にそれで合ってる? と疑ってしまう。
だからコミュニケーションの基本的な姿勢として、こうしなさいと行動を指示するのではなく、相手が納得するように目的をまず伝えることが先。そして、フィードバックよりも“フィードフォワード”を重視することが大切です」(飯山氏、以下同)
フィードフォワードとは、過去や成功事例にとらわれるのではなく、将来・未来を見据えて何ができるのかを追求する考え方である。
「上司が、部下の好きなYouTuberよりカリスマ性で勝つことはほぼ不可能。まずは自分と部下は、もう真逆なんだ、まったく違うんだということを知ることから始めましょう。日に日にAI技術も進化する毎日で、頭のOSがWindows7みたいな人も中にはいるじゃないですか(笑)」
じゃ、もうそんなおじさん・おばさんは、サポート終了?
「自身の成功体験に基づいて自分から話しかけにいくようなことはしてはダメ。相談されて初めて答えてあげるくらいのどっしり感で、まずは自由にやりたいことをやらせてあげて、可能性を信じてあげてみてください。令和の上司に必要なのは、そんな“懐の深さ”と“信じる覚悟”です」
飯山氏は、
「WBC準決勝のメキシコ戦、栗山監督は最後、村上宗隆選手でいくと、信じましたよね。バントや代打の選択だってあったシーンで、監督は村上をただ信じた。もしあそこで打てずに負けていたら、非難の対象は監督に集まったでしょう。そこには、これでダメなら自分が全責任を負うという、監督しての覚悟があった」
と述べる。栗山監督と森保監督に共通するのは「高い傾聴力」と「チームビルディングのうまさ」だと続ける。
「選手たちの話をよく聞いているというのは周知の通り。チームビルディングとしての肝は、“チームの核になる人”をちゃんと設定でき、そこを伸ばしていけるか。さらに“そことは対極にいる人”にいかに目をかけてあげられるか。両極端を伸ばすことが、チーム全体としての底上げにつながるからです」
そして、
「スポーツでのチーム作りと、会社での組織作りに大きな違いはない」
と飯山氏。どっしりと若者の言葉に耳を傾け、相手を信じて、責任は負う。大丈夫! 大谷翔平がいる!