目次
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ー 入院中に信者の人たちがお祈りに来てくれた
Page 2
ー 石原軍団の撮影中にガラスの破片が目に入り失明危機
Page 3
ー 芸能界引退後は実業家として浄水器販売も

 

 話題になった“あのとき”に、本人は何を思っていたのか―。'80年代に大ヒットした渡哲也さん主演ドラマ『西部警察』で北条卓刑事役、通称『ジョー』として鮮烈にデビューを果たす。舘ひろし主演のドラマ『あぶない刑事』にもレギュラー出演。'17年に肺がんが見つかると「手術はできない」と言われて、身辺整理のために自宅も売却し、死を覚悟したけれど……。

体重が30㎏減ってしまい、50㎏を切っていました。見舞いに来てくれた人は“きっと大丈夫”とか言っていたけど、病室を出たら“アイツはもうダメだ”って言ってたでしょうね(笑)

入院中に信者の人たちがお祈りに来てくれた

 凄絶な体験を明るく話すのは御木裕。'17年に肺がんを患い、生死の境をさまよった。

「撮影現場にいたのですが、体調が悪くて風邪薬を飲んだんです。そうしたら激しい腹痛が起きて、あちこち痛くなり動けなくなった。気を失って、救急車で病院に運ばれて。エコーとか、いろいろ調べてもらった後に目が覚めて、起き上がれたので、さて帰ろうとしたらドクターが“すぐ入院です。末期がんのあなたがここで立っていること自体がありえない”って」

 転移もあるか聞いたところ、

「そんなレベルじゃない」

 と言う。手術ができず“根治”はない。告げられた余命は、あと1か月─。

余命が1年あるなら僕もいろいろ考えるけど、1か月なんて言われて困っちゃった。とにかく身辺整理をしようと思って、自宅を含めて全部、売り払いました

 入院して、3種類の抗がん剤投与と放射線治療を受けた。

「僕の大叔父が大阪にある宗教団体の創始者でね。入院中に信者の人たちがお祈りに来てくれるんです。治療はドクターの言うとおりにしましたよ。

 ただ、酒とタバコはやめなかった。これは意地でもね(笑)。異常に痩せて顔が腫れたけれど、治療と検査を続けたらドクターが“アレ?”って驚いた顔して、なぜかよくなっていたんです。お祈りの力ってあるんですかね」

 発病から5年、今の体重は60㎏まで戻った。

「昔はムキムキだったんだけどね。まだギリギリですよ」

 もともと身体は丈夫で、ドラマ『西部警察』では空手の回し蹴りが得意な北条卓刑事こと「ジョー」を演じた。御木は'80年にこの作品で役者デビューした。

ウチの家族と知り合いだった石原慎太郎さんが大阪の自宅にやって来て、テニスをご一緒したときにテレビに出ないかと誘われたんです。僕は役者志望でもなんでもなかったから、テレビで見たことのある芸能人に会っても驚きはしなかったのですが、自分の演技が下手クソなのは申し訳なかった