名前も個人情報だと認知することが大切
この事件をきっかけに、さいたま市教育委員会は各学校に名札や持ち物に名前を書かないように指導するように通知をした。それでも「お菓子をあげる」「遊びに行こう」などと声をかけられる事案が、'20年には年間3000件近く埼玉県では報告されているという。
「誰もが見られるSNSでも本名を名乗る必要がないですし、アイコンの写真も自分の写真以外を使えます。名札が必要なのは、ビジネスシーンや会議といった限られた場合だけではないでしょうか。
名前を聞かなくてはならない場面であれば、“名前を教えていただけますか”と相手に承諾をとった上で教えてもらえばいい話です。不特定多数の人と接する接客業の従業員が、本名を晒す必要はないでしょう」(高橋弁護士)
誰もがネットにつながることで、情報を簡単に得ることができる現在。以前なら“たかが名前”で済んでいたのかもしれないが、自分の身を守るため、名前の扱いにまで気をつけなくてはいけない世の中に。コミュニケーションの形も、時代によって変わっていく──。
(取材・文/蒔田 稔)