認知症予防のためには筋肉を減らさないこと
認知症予防のため、ほかにも摂取したい成分には、ビタミンB12とよく似た働きをする「葉酸(ビタミンB9)」がある。葉酸が不足すれば、やはり認知機能障害が起きやすくなるという。
「葉酸にも、血液中のホモシステインを分解する作用があります。ホモシステインを減らすことで動脈硬化の進行を抑え、認知機能障害を防ぐ働きが期待できます」
葉酸は水溶性のビタミンで、緑黄色野菜や大豆製品、青汁などに含まれている。通常の食事をしていれば、それほど不足する成分ではない。さらに、とりすぎたとしても排泄される。
食生活で心配なのは、加齢とともに食事の量や活動量が徐々に減ってくることだ。日々、栄養不足に陥らないように、とる食品に気を配らなくてはならない。
「タンパク質の摂取が減ると筋肉量も減少して、歩行がおぼつかなくなります。そうなれば、転倒から寝たきりになる可能性が高まります。さらに、寝たきりから認知症を発症するリスクもあるのです」
食事にタンパク質を多く含む赤身肉や魚、卵などの食材を取り入れながら、散歩などで定期的に身体を動かして、筋肉の衰えを防ぎたい。
「認知機能や筋肉を維持する栄養素を摂取し、適度な運動を心がけることが、認知症の予防につながります」
教えてくれたのは……三木綾子先生●昭和大学 医学部内科学講座脳神経内科学部門・助教。昭和大学医学部卒。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医。専門分野は脳卒中診療や認知症の研究。
(取材・文/松澤ゆかり イラスト/やまだやすこ)