ごまかしが利かない「ストロングスタイル」
かもめんたるの場合はボケである僕が笑いを起こす担当ですが、ニッポンの社長ではこれがケツくんになるんです。これはなかなか珍しいスタイルであると同時にニッポンの社長に大きな特色を与えています。
さっきの料理店の例えでいくと、僕はシェフではあるんですが、食材でもあるんです。まあ、その時点で料理店の例えは破綻してしまうんですが。
辻くんはコントの中でその役を演じながらもどこか俯瞰でそれを捉えていて、お客さんとケツくんの中間に存在しているその状態がすごくお笑い的なんですよね。ネタが良い意味でお笑いのネタっぽいんです。
世界観を押し出しすぎると笑いのポイントが不明瞭になりがちで、演劇的になってしまいますが、ニッポンの社長のスタイルはそれを自然と回避しているように僕には見えます。
ただ、そのスタイルにはもちろんデメリットもあって、中途半端なネタだとまったくごまかしが利かない、ストロングスタイルでもあるんです。演技力やテンションでカバーできないからです。
辻くんがその辺にどれだけ意識的でいるかはわからないのですが、僕はぜひ彼らにはこのまま今の道を歩んでいってもらいたいと思います。せっかく切り開いた道ですから。ニッポンの社長というへんてこなネームが、「新しくて強くて面白い」という意味の言葉になる世界はすぐそこまで来ていると僕は信じています。
岩崎う大 1978年東京都生まれ。早稲田大学卒。かもめんたるとして槙尾ユウスケとコンビを結成。キングオブコント2013年優勝。お笑い芸人だけでなく、脚本家、放送作家、漫画家として多彩に活躍中