2020年代以降を読み解く鍵は、ズバリAIと何を掛け合わせるかにあると言っていいだろう。金融、農業、医療…と、様々な領域での掛け算により、より豊かな世界を創造すべく我々は邁進しなければいけない。ただ、悲しいかな、最新技術はいつだって、オトコの欲望のそばにある。
「AI美女」である。
自分好みの顔・スタイルで、AI美女が作れる
元米大統領のオバマやトランプも苦しんだ、既存の映像や写真を人工的に合成し、虚偽の映像や写真を作り出せてしまう、いわゆるディープフェイク技術だ。そんなディープフェイク技術(や、それに類するAI技術)で作られた、理想のスタイル・顔で作られる、オトコの欲望の塊こと「AI美女」が爆誕しているのである。
「実際にアパレル業界では、生身のファッションモデルを、AIで作られたモデルが代替していく流れは確実にある」(前出・テック系情報誌編集者)
もちろん、人がモノを購買する意思決定のプロセスにおいてそのモデルの人間味は確実に存在するので、完全に代替することは現実的ではないが、量産型のECモデルなどは淘汰されていく可能性は十分にあるだろう。話はAI美女に戻る。
「各種SNSで、理想の女性の顔やスタイルをAIで作って披露して楽しむ流れがあります。この背景にはチャイボーグ美女やオルチャンメイクに代表されるような、“中華美女”や韓国アイドルのビジュアルに憧れるZ世代のトレンドがある」とはティーン系女性誌編集者。
世界の多様な価値観や、ファッショントレンドにいつでもどこからでも最速でアクセスできる社会的背景もこれを後押ししていると見ていいだろう。今度こそ、話は“オトコの”AI美女に戻る。
「自分好みの顔、自分好みのスタイルで、AI美女が作れてしまう。もうそんなAI美女が動き出す時代に突入している。これは、もうわかりますよね?(笑)」(前出・テック系情報誌編集者)
ファッションモデルがAIとなり、オトコの欲望を満たす“アレ”もAIとなり。あぁ、AIは世界をどう変える? 冒頭での公開書簡には、AIに対するリスクを様々な疑問で言及した箇所がある。その中の一節を最後に紹介する。
「私たちは、いつか私たちを数で上回り、出し抜き、陳腐化させ、取って代わるかもしれない非人間的な知性を開発すべきでしょうか?」