「安倍元首相の襲撃事件の経験が大きく影響していると思います。安倍元首相は山上徹也被告に背後から襲撃され凶弾に倒れた。そのため、今回の警備は岸田首相の背後に多くのSPや警察官を配置していました」
屋外での警備は聴衆全員に金属探知機と身体検査を行うことができないため、非常に難しいという。
「だからこそ、聴衆に注意を払わなければならない。まず、岸田首相に背を向けて、聴衆を前から対面のかたちで監視する警察官が少なかった印象です。そして、聴衆の真ん中にも対面するかたちで監視する警察官。これが足りなかったのではないか」
事件が起きてからも動きも気になった、と中島氏。
聴衆への避難指示はいつ出したのか?
「容疑者は一般人らに羽交いじめにされている最中、2個目の爆発物と思しき筒状のものに火をつけようとしていた。この時点で、警察はまだ聴衆に避難指示を出していない。もし着火していたら被害は甚大なものになったかもしれません」
容疑者が投げ込んだ筒状のものが数秒後に爆発。その爆音と白煙でようやく聴衆の一部は逃げ出しているが、その時点でも警察は避難指示を出していなかった。
安倍元首相の事件をきっかけに警備体制は見直された。警察庁が警備計画を制作し、和歌山県警と密に連携していたはずだが、
「確かに警備が難しい状況であったと思いますが、警備体制の点数を付けるのであればゼロ点。岸田首相の近くに投げ込まれたものがもし爆発していたら……。悲劇を繰り返さないためにも、警察は今後の教訓にしてほしいですね」