見える景色がだんだん変わらなくなってきた

 そんな中、国山さんは立ち上げ間もないWEBメディア『PIVOT』へジョインすることを選択した。

「TBSで色々な番組をやらせてもらっているうちに、見える景色がだんだん変わらなくなってきたというか。ある程度のことはもうできるようになって、ここから先は多分自分で何かクリエイティブというか、ゼロからイチを作れるようになるかどうかが重要だと思いました。

 テレビ局での自分の未来はなんとなく想像できてしまったのです。そのままいれば、もしかしたらMCができたかもしれないし、メインキャスターがやれたかもしれない。でもその未来はなんとなく見えていました。

 今、PIVOTに来てみて10年後はどうなっているか全く見えないのですが、見えないからこそすごくワクワクして、そのことに魅力を感じて決断できたのだと思います」

 新しいワクワクに魅了されての決断。アナウンサーの転職は今や珍しくなくなったが、彼はどのように考えていたのか。

「世の中は自分が思うよりもっと広いし、キャリアに関しても色々な選択肢があって良いというのは漠然と思っていましたが、その時はまだ自分のやりたいことがテレビの世界にあったので続けてきました。

 一般的に転職はキャリアアップが目的ですが、リアルな話、テレビ局は年収も高いし、働く環境においても、それを上回る環境はなかなか日本では多くないので、転職は簡単ではないと思っていました。でも今後は変わっていくと考えています。

 人材が流動化していくことはポジティブな側面もあるからです。

 テレビからWEBメディアに来た僕は、引き続き出演もしていきます。色々なキャリアを持つ人が移動することによってロールモデルも増えていきますし、それは良いことだと思っています」